オールバックな木手君 | ナノ
飲まれました
「今晩は、お嬢さん。」
酔っ払ってふわふわしてる私の横に、オールバックの眼鏡がよく似合うカッコいいお兄さんが座った。
「私はエイシ、と言います。どうぞ宜しくお願いします。」
「よろしく〜エイシさん。」
お酒弱いからソフトドリンク頂戴〜と手をひらひらさせたらエイシさんは私の手を取った。
「せっかく白くて小さな手なのに…荒れているなんて勿体無いです。」
「あ〜コレはね、乾燥肌で冷暖房効きまくる環境だからしょーがないのー。」
クリーム塗ってるんだけどね〜とお喋りしていたら何かエイシさんが書いてる。もうおしまい?時間制なんだね〜とか思っていたら紙を見せられた。
「木手永四郎」と書かれた紙を。
「貴女だけに、教えます。木手永四郎、私の本名です。貴女のお名前は…?」
妖艶、って美女に使われるんだと思ってたんだけどエイシさん、すっごく綺麗で私がもうちょっと美人に育ってたらなぁ、とか思うぐらいセクシーな笑い方。
「私は、霧栄。」
「霧栄さん…素敵なお名前ですね。」
なんか…ジリジリ近付いて来てる気がするのは酔っ払ってるからかなぁ?
「霧栄さん、今日はお友達といらっしゃったそうですね。」
「うん。あの子カッコいい人大好きだから。」
見るのが好きなんだよね、私はとかやっぱり美男には美女だよ〜とか言ってたらエイシさんに顔を向かせられた。おっきい手だなぁ。それに男らしくていいな。
「霧栄さん。メル友から、始めませんか?店長には、内緒ですが。」
「いーよぉ。」
メモ帳から紙を一枚取って酔った勢いで番号まで書いてたけど気にしない。サービスじゃないかなぁ。わかんないけど、お客さんがいるから接客業があるわけだし、会社にも営業いるし。で、手渡したらハンカチを出して私の口元を拭くとしまった。
「私は沖縄出身ですが、霧栄さんはどちらのご出身ですか?」
ホントに色々聞かれて今じゃ狭いアパートで彼氏もいなくて潤わない生活してるよ〜とか出会いも無いしこのままお局様かなぁ?とか話していたら時間になっちゃった。
お酒飲まなかったからかな?想像したよりリーズナブルだった。
翌朝、眠気を払いながら仕事用の化粧をして電車で携帯見ていたら見覚えの無いアドレスからメールが着てた。
「エイシこと木手永四郎です。」そんでカバンに入れてた名刺を見て固まった。そうだ私はホスクラに行ったんだった…!で、デートとかやってたら告られてお付き合いの始まり。
永四郎、ホスト辞めちゃったんだって。私、自惚れていいのかしら?
今回の木手くん。
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