ゴジラの子供達 | ナノ
破壊神再臨2
敵と見なせば容赦は無用とばかりに、遼とレイナはかつての格好で堂々と入り口を蹴り破った。
遼が蹴りをあまり使わない事は、undergroundの面々も痛いほど知っている。当たりどころでは、殺すからだ。
「ちびカラス!ナビゲーション頼むぜ。」
「ブラックレイヴンだ!子供は地下からヒルディアが引き上げた。機動隊に子供だけ向かわせた。バカ共は最奥部西!」
「3秒経ったら、龍の子と般若んとこの若いの!片付けたらガス好きなだけ使えよ変態!」
「変態変態うるさいわね解ったわよ!」
このやかましいやり取りの間も、遼とレイナは雑魚ちらしを怠らない。
かつて都内を震撼させた2人組。その動きは変わらず鈍っていなかった。
「姉御!任せて下せぇ!」
「ほな頼むわ。遼、行こうや!」
「簡単に川を渡らせてやるか!」
唖然とする、遼をルーラーと讃えたヤクザ達。十年の歳月を経ても、弱くなるどころか強さが増している。組長達は、互いに笑いあってしまった。
あれこそ、焦がれ求め続けたが手に入らなかったルーラー。佐々木遼なのだと。そして傍らの美女は、ルーラーの手足にもなりうる唯一無二の友人なのだと。
「懐かしいな、ちっとも変わっちゃいねぇ。」
「我々が老いる訳だ。ルーラーは、人の母となりながら先陣を切る。」
「あの目、あれはルーラーだけの目だ。」
「催涙ガス、有りっ丈持ってきたの撒くわよ!」
慌てて、彼らは安全圏へと退避した。遼の頼みは、自分達の利益にもなる。undergroundの不文律を破っても、遼だから許される特例中の特例だ。
「入るぜ、クソガキ共。」
「な、誰だ!?大親分がいきなり手を切る事と関係があるのか!?」
「大いにあるやろ。関東最強、佐々木遼の娘とうちの娘を攫ったんやから。」
酷薄な笑みを湛えるレイナに、遼は口だけで笑う。
「レイナ、説明が足りねぇぞ?新宿で唯一俺の庇護を受けた、美人の足業師。大親分とは長い付き合いだからなぁ。とりあえず、安心しろ。命はとらねぇ。」
拳銃よりも速く、レイナの足が急所を狙う。刀を振り回しても、遼に折られ地に伏す。
圧倒的で、一方的な暴力の嵐が吹き荒れた。
「ちびカラス。終わったから脱出経路。」
「爆発物撤去終わったからいつでもどこでも。寧ろ永遠に居てくれ。」
「報酬要らねえの?ご苦労さん。…みっちゃん、終わったから機動隊突撃。催涙ガスぶちまいてある。」
誘拐犯行声明発表からわずか半日。
帰ったら晩飯をみんなで食べようと、あまりに温度差のある2人の笑顔だった。
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