ゴジラの子供達 | ナノ
戦え!お母さん!!
中学校を卒業してから、情報屋に飽きて廃業していた遼。しかし付き合いはそれなりにある。
遼をルーラーとボスキャラのように呼ぶ後ろめたい者達だ。幸か不幸か、遼は誰よりも早く情報を掴んだ。
愛娘由と、レイナの子供達が誘拐されたのだ。
「久しぶりに大親分の声聞いたと思えば。どこのどいつだそのバカは。」
呆れかえったような口調の遼に、大親分と呼ばれた男は溜め息混じりに答えた。遼を敵に回しても、得にはならない。
「最近、巷を騒がす粉売り共さ。…ルーラーが動くなら、伝える。」
「龍の子と般若に宜しくしといてくれ。被害は?」
「死者はまだ聞いてはいないが、子供3人と素人1人が救急車だ。」
「了解。引き続き頼むぜ。10は軽く超えてるからなぁ、大親分の罪状。」
軽口を叩いているが、その声音は恐ろしく冷ややかで数多のあだ名を持つ、佐々木遼そのもの。男は触らぬ神に祟り無し、とばかりに確約した。
遼は引き続き、レイナへ連絡して手塚家へ来るように言う。声音と長い付き合いから、ただ事ではないと察するレイナもやはり荒事に慣れた女だ。
「みっちゃん、由達がかっさらわれた。犯行声明なり脅迫状なり来るぜ。」
「な…!?」
突然かかってきた妻からの電話に、手塚は固まる。警察さえも恐れ、実質日本すら動かしかねない遼。その愛娘と友人の子が誘拐されたのだ。
「今調べてる。追って頼むから安易に動くなよ。サナゲンも総監も、だ。粉売りだから芋づる式でゴロゴロ出るぜ。」
「…解った。無茶だけは、してくれるな。」
関東最強と謳われ、不敗神話が語り草となっている妻は過激すぎる。その導火線に火をつけてただでは終わらない。
「あぁ。レイナが来たから切るぜ。口裏は合わせろよ?」
言うだけ言って、あっさり電話を切った。レイナは、何事かと真剣そのものだ。遼が説明すると、その目は業火の如く怒りで燃え盛り始めた。
「…遼、二回目や。」
「あぁ。俺達は仏様みてぇに優しくねぇ。不本意だけど、1日限定復活だ。演技は任せる。」
遼の持っていた、グラスが見事に砕かれた。かなり怒っている。
「目薬、貸してな。」
「2つ目のタンスの右側。みっちゃんのだけど。俺は変態とアングラ連中に渡りを付ける。」
「了解。…傷1つでんあったら殺すわ。」
「止めろ。俺達は一般的に見れば子供の母親で警察官のか弱い嫁だ。」
全く説得力の無い話だが、一般的に見ればと前置きしているのだから間違いではない。
そして、脅迫状が発表されたのだった。
オープニング。
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