新プリfeurig | ナノ
イロハカエデ

阿久津をあっくん、と呼んだ満に中学生の視線が集まった。満は空いている手で頬を掻き

「まぁ…あっくんとは色々あったんです。色々。」

「散々コケにしやがったクソアマが何で居んだよ。お前、テニスなんかやってたのか?」

「うん。赤也の練習に付き合ってて覚えたの。」

満の動きを知る阿久津だからこそ、あっさり言ってのける事が癇に障る。コートの中なら、一瞬で追い付き返球すると確信しているのだ。
街中ですら、見失う程の速さ。

「…どっちもカタつけてやっからな。」

「それは楽しみね。あっくんテニスやってたなんて初耳だし。」

なら何で知り合ったんだ?と言いたくなる事情を知らないメンバー。しかし知らない方がいい。

「赤城さん、浅野さん。施設内見学が始まるそうですよ。」

首を突っ込みたくない。その一心で柳生が声を掛け、施設内見学に中学生達は向かった。因みに、男子中学生高校生と満達は宿舎が離れ、黒部や柘植の近くで寝泊まりとなっている。

翌朝。シャッフル・マッチが張り出され、桃城と鬼。満と鈴のダブルスに六番コートの高校生ダブルス。
極めて異例の事態となったのだった。

「鈴先輩、ダブルスだそうですよ。後方はお任せ下さいね。」

「うん。力業は打ち返すから満ちゃん無理しないでね?」

大変麗しい、家族愛。従姉妹同士の化物2人。青学は桃城で騒いでいるが。
氷帝と立海は重苦しい雰囲気がのしかかっていた。何であの2人にダブルスをやらせるのか。どうせなら自分達が戦って勝ちたいが、本気を出してもらえるか甚だ怪しい。
高校生も変わらないのだから、骨折で済めばいいな、と内心祈る。

「さて、と。お手並み拝見致します。」

柔和な笑みに、誰もが一度は騙される。満は無垢で残酷な少女だ。
例えるなら、虫の足をもぎ取り、足掻く姿を笑いながら見る子供のように。鈴もまた、満の影響を受けている。

「満ちゃん!」

「はい。リミッター1、解除。さっさと終わらせましょう。」

リミッター?と眉を顰める観客。柳が淡々と

「赤城は、技の傾向が数字の大きさによって危険度が変わる。オール解除、となれば…本気の赤城だと思っていい。リミッターは3まである。2以上は、赤城の好きなものを見る事になるな。」

「何なんだあの女の子!?いつの間に移動した!?速すぎんだろ!!」

軌道、回転、感じる風。五感を研ぎ澄まし、満は前衛の腕をスポットに陥れた。鈴は後衛を

「枯れ葉」

吹っ飛ばし、まさしく枯れ葉の如く落とした。2人は六番コートに、昇格したのだ。

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