新プリfeurig | ナノ
ブーゲンビリア

「あ、アニキ…。」

蜘蛛の子を散らすように、高校生達が去って行く中。立海名物流血夫妻と男女逆転夫妻は、いちゃついてバカップル全開だった。

「どうでした昨日は?」

「いや、赤也が弦一郎に殴られたり仁王が幸村のストレス発散になったな」

柳が淡々と言うが、鈴は悲しげに目を伏せる。

「そうですか…」

「1番悲しかったのはお前が居なかった事だ」

「そうですね、私も寂しかったです…」

離れたくない。そんな言葉が聞こえてきそうなプリンセスホールド。更にベンチへと向かう。

「まだ、姫抱っこした…」

「スゲー…」

「あ、柳を膝に乗せたぞ」
「男女逆だな」

流血夫妻は、満に怪我は無いかと赤也が隈無くチェックしていた。

「はぁ。怪我が無くて良かった。」

「心配性ね。あんなのに怪我させられたなんて、赤城満一生の恥よ?」

「満、妙なトコで普通なフリすっから。」

カップル繋ぎに、体を寄せ合う2人。先程、満が見せた生ぬるい殺気を忘れてしまいそうだ。

「兄ちゃんら、テニスしに来たんとちゃうん?」

背景に花でも咲いていそうな2人に、野生児金太郎が怖々と話し掛けた。
満は本能的に怖いと刷り込まれたのである。

「そうよ。私と従姉妹の鈴先輩は特別枠、ってわざわざ招待状までね。」

「だから学校休むかもって言ってたのか。納得。」

邪魔は片付けて合宿まで一緒、となり上機嫌な2人は一年生にしか見えない金太郎に寛容だった。

「…三人仲良く話をしているところ悪いけど、本来ここで勝手な試合は厳禁なんだ。」

赤い水溜まりを見て、僅かに動揺した入江が声を掛ける。満の名は、一年経った今も万年筆の女子中学生として有名だ。
流行語になりかけている、護身用。その走りである。

「あら、それはすいません。」

目を伏せ、軽く会釈する満に鈴。規律は勿論、規則や倫理を守ろうとはしているのだ。恋人が最優先でも。みだりに力は多用しない、と合宿に参加した。
入江が解りやすい説明をし自己紹介と共に笑顔を全員に向ける。続けて、鬼。

「アンタは強いんスか?いや〜ボク試合…!」

「帰りたいのか?…練習に戻りましょう。」

赤也が徳川に声を掛けた。しかし、動けない。満程ではないが、幸村に似た何かを察知した。
鬼と阿久津が擦れ違いにぶつかって、満が目を丸くした。

「あまり生き急ぐなよ。」

「お前、誰に指図してんの?」

「あっくん!?」

満の声に全員が注目した。怪童阿久津。河村だけが2人の因縁を知る。
この合宿、思ったより化物がいる様ですねぇ。
木手の言葉に、事情通は最高の化物はこいつらだ。と内心答えていた。

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