新プリfeurig | ナノ
キランソウ
「『ボールを250個落とす。取れなかった48名は速やかに帰れ。』―と。」
黒部の言葉に、中学高校生達はボールを集めたが。柳と乾が感づいた。2人、多いと。ふわり、と風が凪いだ瞬間。居ないと思っていた少女が、ボール片手に笑っていた。
その横には、ブレスレットを嵌めた少女。不敗のダブルス、王者立海に君臨する女子。
「満!?」
「赤也!?」
「昨日居なかったから寂しかったじゃんかー!」
ひしっ。と抱きしめあうバカップル。立海の日常だが立海だけ居るのではない。バカップル二組、立海名物である。
「ごめんね?私もコレに呼ばれて連絡する暇も無かったの。」
いちゃいちゃと抱きしめあったまま、2人の世界へぶっ飛んでいる。
「蓮二さん!」
「鈴!」
また抱きしめあうバカップル二号。
「き、昨日はごめんなさい満ちゃんと一緒にいたの」
「そうか、心配したぞ」
「ごめんなさい。蓮二さん、また痩せましたね」
ひょいとプリンセスホールドをする鈴。怪力もかなり制御出来るようになり、人間にすら触れない状態から脱した。
「ああ、少しトレーニングを増やしたからな、」
「重りも増えて…心配です…」
「大丈夫だ…」
見ていて居たたまれないのは、事情を知らない四天宝寺などだ。氷帝と青学は顔色が悪くなり、リョーマの帰国すら吹っ飛んだ。
「逆に見えるんだが…」
「柳がお姫様抱っこ?逆じゃねぇ?」
「なにがおかしい?」
「鈴さんは真田を片手で運ぶよ?」
「いや、逆やろ!」
真っ当な判断だが、立海に普通の二文字は通用しないのだ。幸せそうな笑顔のバカップル。
だが、黙っていない者が居た。
「ゴラァ〜〜ックソガキ共っ!!1人で何個もボール取ってんじゃねーよ。」
吐き捨てるように佐々部が言うが、満と鈴は邪魔をされた嫌悪感も露わだ。
「そーいや侑士…さっきコーチがボール取れなかった人は帰れって言ってたよな?」
「岳人…声デカいでぇ。」
満を抱き締めたまま、赤也が高らかに嘲笑った。
「ひゃっひゃぁーっ残念!ちゃっちゃと帰っちゃって下さいよ!」
そんで満と俺の邪魔すんなと、下心見え見えの発言だが中学生である。
『ボールを取れなかった方々は監督の意向通り速やかに帰宅しなさい!以上です。』
放送によって伝えられたのだが、テニスで決着をつけようと高校生から喧嘩をふっかけてきた。鈴と満の強固なリミッターが、軋むような言い方。
その道のプロである満は、観察眼も中学生離れしている。明らかに劣る面々だったのだ。
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