新プリfeurig | ナノ
マツヨイグサ

朝食後、昼食後には休憩時間が一時間半ある。
その間に、手塚達勝ち組の中学生は黒部に呼び出された。

「諸君を呼んだのは他でもない、あの驚異的な女子中学生二名の事です。彼女達は高校生にも刺激となるでしょう。三番コートまで勝ち上がれば、彼女達との公式戦を認めます。」

立海、氷帝、青学は闘志を燃やしだした。
合宿で、これでもかと煮え湯を飲まされてきた鈴と満。練習を重ねた今、三番コートに勝てば公式戦が出来るのだ。他校も、神尾どころか謙也を超える速さに巧みな満と、銀を超えるパワーを持つ鈴は挑戦したい。
そうして、全員一致で頷いた。

そんな事を男子中学生達がしている間。

「上手いな。それだとキーホルダーかストラップサイズか?」

「そうですね、赤也とお揃いで持つか使うかしたいです。」

満は鬼と編みぐるみ作りをしていた。鍵編みで、ラケットにボールをぶら下げたような作品だ。
徳川は、満の本気を見た為冷静を装う事で精一杯である。

「へー、これ一枚でかなり利くんだ?」

「はい。でも長くて10分ですよ。肌荒れどころか痒くて仕方なくなります。他にも満ちゃんがたまに使う胃薬も貰いました。」

大和と鈴はとんでもない医療用薬品談義。現在は多忙につき不在の、マッドサイエンティストとまで呼ばれるあの子がコネと持てる知識を有効活用した結果だ。目的と有効な成分が解れば作る。

「強力だね。浅野ちゃんも使うの?」

「実は、あんまり。寧ろ対戦した人にあげてます。鬼さんにも。」

鈴が使う時は、本当に稀なのだ。せいぜい捻挫。
胃薬はジャッカル、宍戸など心痛頭痛胃痛に悩まされる負けた人々の愛用品だ。男子中学生イビリはしているがこの2人は最早別格、勝てる気がしなくなりつつあるので、高校生も高校生らしく振る舞える。

「…鬼さん、それ真田先輩の編みぐるみですか?」

「おぅ、あの黒帽子だ。人間をモデルに作るのは観察にも便利だからな。」

いやそういう事じゃなく。何でよりによって真田?と満は聞きたい。もっと可愛らしいモデルがいるだろ、と。

「慣れてらっしゃいますね…お上手ですし。」

「暇つぶしも練習に繋げられるのがいいからな。赤城も慣れとる。」

中身と見た目が逆の意味で合わない2人。大和と鬼はかなりフレンドリーな高校生だ。

「浅野ちゃんが持ってないので、他に何かある?」

「冷却スプレーとか育毛剤とか…あの方は本当に何でも作れそうです。」

「…どんな知り合い?」

国家機密です。とは鈴も言いたくなかった。

[ 14/18 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



メイン
トップへ