新プリfeurig | ナノ
アブラナ

潰し合いを経て、満と赤也は仲睦まじく共に練習をしていた。
徳川に見せた禍々しくおぞましい姿など、立海メンバーは予想くらいしている。常日頃は、優秀かつ朗らかなのだから出させない努力をするだけだ。

「あら、また?」

「えー!?満もう三番コートと試合!?絶対追い抜かすからな!」

「期待してるわ。赤也も五番コートね。赤目になれるかな?」

クスクスと悪戯っぽく笑いながら、ラケットを片手にコートへと向かう。

「第一試合シングルス!赤い梟赤城満!」

「…その妙なネーミング止めてもらえます?」

梟。夜行性猛禽類。梟雄と言う言葉すらある。残忍さを、初日で示してしまったからか。果てしなく満には悪意を感じる。
ギリシア神話の女神、戦略や知恵、芸術を司るアテナの使いとしても有名だが。

「女の子だからって手加減はしないぜ。」

「望むところです。」

笑みを湛え、静かなコートに立つ2人。サーバーは満だ。

「速い!」

観客と言うべきか、選手と言うべきか。高校生と満を知らない者達が感嘆の声を上げる。
満の遠心力を利用したサーブが、コートに突き刺さった。

「侮ってたな。」

明らかに馬鹿にした口調の高校生。しかし満は柔らかな笑みのままだ。

「馬鹿か、アイツ。赤城がこんなもんで済むか。」

「同感だな、跡部も俺も赤城さんには勝てなかった。シングルスでも。」

幸村の言葉に、白石達が目を見開く。
ダブルスはジャッカルをも凌駕する、デタラメな守備。攻撃は鈴が相手の腕や関節に、とんでもないダメージを与えると勘違いされがちだ。

「リミッター1、解除します。」

満の宣言に、観月が目を見開いた。まだ全貌を解明出来ていない満の技。だがリミッターを解除しただけでも厄介だ。

「エピキュリアンか、アヴェリシスか…。」

「観月、何それ?」

「乾君に聞いた傾向に合わせて名付けただけで、赤城さんには許可を取っていません。地獄の名から使っているだけです。」

観月と不二が話している合間に、満は一瞬でボールに追い付き、柳生を上回るレーザーを放った。

「レーザービーム!?」

「いえ、私のレーザーより速いです。」

第一の技、不信心。観月達はバッドフェイスと呼ぶ。ただ追いついた瞬間に、レーザーを放つだけでは無いのだ。相手の癖を見抜き、死角へと打つ。

「…アヴェリシス、だな。ついでにバッドフェイスを使ったか。」

高校生は、スポットに陥った。

「ゲームセット6−0ウォンバイ赤城!」

いとも簡単に、駒を進める満だった。

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