テニプリ短編 | ナノ



日吉ハピバforゴジラ


14の誕生日。正直面倒で仕方がない。
クラスメートやうるさい女子、いちいちやることなすこと派手な跡部部長…前部長か。とりあえず一日中騒がれ続ける。
迷惑以外の何物でもない。去年も散々だった。

「日吉誕生日おめでとうー!はい俺のポッキー。」

「…はぁ。有難う御座います。」

ちっとも祝われて嬉しくない。引退しても部活に顔を出す先輩に、部長としての実感もあまりない。何度目の形だけの礼だろう、と思いながら鞄に増えていくプレゼントの山。
マトモに部活が出来るだろうか?と思っていたら聞き慣れた叫び声。…高をくくっていた。まさか三河まで祝いに来るのか。

「あ、佐緒里やん。どないしたん?」

「ひよこ借りに来た。サカッティーにもオッケー貰ったから。ひよこ、荷物纏めて来い。いーとこ連れてってやっから。」

「…部活を休めと?」

相変わらず俺を見下ろす三河は、ミリタリージャケットにジーンズと男にしか見えない。
俺の知らないところでどんな取引をしたんだか知らないが、拒否権は無いのが三河のやり方だ。

「けごたん後はシクヨロ。慈郎丸も寝るなよ?」

問答無用で俺は三河に引きずられて、駅へと向かわされた。…首が痛い。

「はいまずここ。超有名な玉川上水。こないだ習った太宰治がっての。」

「…心霊スポットか。悪くはない。」

「だろ?結構な名所だから近場もゴロゴロ。公園なんかも年末はサツが見回りするし。100ぐれぇ出てるらしいぜ。」

ここは俺も行った事があるが、三河の解説付きは有り難い。かなり詳しいからな。

「んで事故多発スポットがすぐ近くに。むかぁし首切り山って言われてたとこの側。」

「どこだ!?」

もうじき日が沈む、逢魔が時だ。もしかしたら見れるかも知れない!…三河は信じていなさそうだが、曰く付きの場所はよく知っている。

「…ちっとも怖くないな。見れるか…?」

「写真はアリか?」

忘れていた…!何の為のカメラだ!三河が案内する場所で、何回も撮影を繰り返した。

「はい、ひよこも気軽に行けそうな曰く付きスポット巡り終了。ちったぁマシな誕生日になったろ?」

「…静かなのは楽だな。アンタも気にするのか。」

日が落ちて、ネオンに浮かぶ三河の笑みは優しいものだった。

「去年けごたんがレギュラーと準レギュラー全員にとんでもねぇ祝い方やったの聞いたし。ひよこ嫌いだろ?」

「否定はしない。」

夕方から今に至るまで、俺と三河だけで過ごせた。…実はそれが一番、俺にとって嬉しい事だ。

「んじゃ、帰ろうぜ。」

一枚、佐緒里の笑みを撮れた。…跡部さんに取られないようにしたい。

日吉ハピバ!!

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