テニバサ | ナノ
小汚いのが誠に遺憾
お仕事後は、野菜や麦を貰って魚とかを引き換えに潤う私達の食卓事情。冬がこれから怖いなぁ…。
狼って食べられるの?
「おーい、国光。交代の時間よー。起きてー。」
「…うん…。」
絶対聞いてない。火の番4人で交代だからかなり楽にはなったけど。こっちも眠いの!
「蛍姉ちゃん。山姥はどこだって聞こえる。」
若。お前を起こした記憶は無くってよ。でも、山姥はどこだって…傷付くんですけど普通に。
「人数は分かる?」
山狩りだったら火を消して木に登らなきゃ。
「足音は1人。…俺とか国光みたいなのか?」
「食われちまえ、か。食べる趣味は無いんだけど。犯罪だし。」
なんかの番組でやってた。生き延びる為に1人殺して食べたって。現代では犯罪なんです。殺人と死体何とかで。
「国光、起きろ。」
若…容赦ない。蹴りで国光起こしてるし。痛いって絶対。
私はがっくんがっくん揺さぶられて起きる事が多い。
「…何だ、若。」
「山姥はどこだって聞こえたんだよ。蛍姉ちゃんと俺はそいつ見に行く。だから火の番やれ。」
これだけ騒いでも、爆睡してる赤也の無防備さにある意味尊敬。本当にこんな山奥までどうやって歩いたの君。
「解った。姉さん、気を付けて。」
「有難う。それじゃ行ってくるわ。」
短刀は常備してるから、そのまま歩き出す。…いつ彼らが私を女として見て、襲いかかるか信用出来ないから。レイプなんて体験したくない。
「山姥はどこにいるー?さっさと食って楽にしてくれよー。」
「…うわ。」
見事な銀髪。こんな真っ暗な山でも綺麗に月明かりで輝く。イケメンならバンドか俳優をお勧めしたい。
「異相か。」
「綺麗なのにね。若、彼は武器持ってる?」
「見える範囲じゃ、持ってない。」
素直に山姥でーす、と開き直れる程人間捨ててない。山姥って人間食べるんでしょ?悪い子はいないかーってこれはなまはげか。
声を聞く限りは男。…私に年齢近いんじゃ?と思う国光がいるから年齢判断は無理。
「お前は死にたいの?生きたいの?」
木の上から声を掛けた。長らく逃げ回って生きたのかすぐに髪が揺れる。
多分見つかった。
「山姥か?疲れたから、楽に食ってくれないか?」
「お生憎様。山姥はこの山には居ないわよ。どうしても生きたいなら、自力で生きればいい。この山は誰も邪魔をしない。若、帰るよ。」
「あぁ。っ!?」
思いっきり頭下げさせられました。…何かあった?
「名前ぐらい聞かせてくれよ、お姉さん。」
自己紹介後。うっかり髪の毛褒めたら懐かれた。
…この時代の常識を教えて下さい。短刀投げがやたら上手い、雅治。
ホストも似合うよ君。
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