ぶっ飛ばす | ナノ
年齢詐称のすすめ



蓮は美少女、と言われるだけあって年相応の顔立ちに美しさが加算される。夜の街では、実質店長を勤めるバーにおいて致命的な幼さだ。

「で、だ。俺の知り合いに整形妖怪…もとい化粧の達人がいるから紹介した結果その化粧、と。」

「ええ人やったで?最悪高校生でんえぇ言うたけど、どう見てもキャバ嬢やから変に思われんし。」

「そりゃな。ブランド新作化粧品片っ端から貢がせてかき集めてあれこれやってるし。」

加えて、蓮の店は知る人ぞ知る名店と呼び声高い店。けたたましい街から少し離れた、ざわめきさえもBGMに出来る。
遼の差し金とネームバリューで、夜の蝶達が上客に勧める静かな店だ。コネを使わずとも、遼の庇護を受けたい店は山ほどある。
いくら積んでも遼には通じないのだ。

「変なんは来んし、遼はホンマ有名人やな。最初のちょっと有名、なんて嘘やったやん。」

「昼間はそうでもねぇ。でさ。みっちゃんとサナゲンがどうして俺んちで辛気臭い面で話し合いしてんだ?接点俺?」

遼手製ブイヤベースに自家製パンなどの洋風ディナーを前に、真田と手塚は雰囲気が暗い。メニューに文句があるなら帰れと蹴り出したいが、食べている。

「さぁ?遼が家におるん珍しいけど真田どこで聞いたんやろ。」

「そりゃまーくんだな。こないだヤバくなりそうだった肉分けた時に教えたからレンちゃんにでも話が飛んだんだろ。」

「遼金持ちやしなぁ。」

図体のでかい男2人に、もっと大きい遼と蓮が陣取っても尚余裕のある自宅は、高級マンションならではのサイズだ。掃除は、手塚がやったが。

「…コレが、佐々木の家なのか。」

「あぁ。カーペットはいい加減変えさせたい。」

「しかも佐々木が、コレを作った?」

「俺の家でもあれこれと作るぞ、佐々木は。不味くは無いが和食の方が馴染み深いだろうな。」

繊細な味わいと手の込んだ食事に、真田は正直驚きを覚えていた。何事も豪快にしかねないからだ。

「頑固おやじ、遼の飯は天下一品、貶したらうちの和食も貶す事になんで。」

「あ、そーいやレイナ。新しいスパイス買ったけどなんか使うか?」

「あ、鰹節無くなりそうやねん。」

「んじゃ食ったら渡しとくな。みっちゃんちも無くなりそうだし。」

真田を露骨に睨みながら蓮は唸ったが、遼の話題転換に乗った。
食卓事情までは、把握する気にもなれないのだ。しょっちゅう出入りする、忍足や手塚の家はよく知っているが。
その後も真田と手塚は、重い空気を背負いながら食事を続けていた。遼は、短パンキャミの格好なのだ。

- 6 -


[*前] | [次#]
ページ:

コラボ部屋




メイン
トップへ