ぶっ飛ばす | ナノ
ただしイケメンに限る



立海大は、広い。しかし、遼が立っていれば噂は一瞬にして広まる。
レイナの大型バイクを借りた事で、遼は自分のバイクを購入したのだ。ライダースを着て、サングラスを掛けたヘルメット持ちの男が東門前にいると聞き、遼を好意的に見ている立海メンバーはすぐさま向かった。長身に乱れた髪の毛、バイクに軽くもたれる遼。
素晴らしく絵になる青年の図だ。これでタバコでも吸っていれば、完璧に大人の男である。

「遼ー!」

満面の笑顔で、丸井と幸村は駆け寄った。見間違いなど有り得ない、存在感と威圧感は仁王すら真似出来ない天性のもの。
サングラスを外し、遼は片手を挙げて2人に挨拶をした。

「よ。レイナいるよな。呼んでくれ。おニューのハーレー盗まれたら殺しそうになるから。」

「柳、レイナ呼んで。」

幸村の有無を言わせない笑みに、柳は頷かざるを得なかった。こういう時の幸村は、怒らせると後が怖いのだ。

「遼、ハーレーってバイクか?」

「おぅ。しかもプレミア付きだ。オヤジに頼んだら送ってきた。パワーはあるしタイヤも強いしちょっと無茶やっても平気な奴。」

道路交通法、と言う法律すら無視する華麗なブルジョアぶり。
なんだかんだで遼は金持ちの娘、目に入れても痛くない程溺愛する娘の、珍しいちょっとしたワガママに応えたい親心だ。
しばらく3人で話していると、レイナが駆けつけた。

「遼ー!お待たせ!すまへんなぁ、今日は仕入れやろ?」

「そういう事。ほら、ヘルメット。スカート押さえとけよ?俺はどうでもいいけど足フェチにはたまらねえらしいからな。今日は果実酒だから。」

会話内容はさておき、傍から見ていると美少女と美青年がイチャイチャしている図だ。しかも似合う。
真田はわなわなと拳を震わせて遼を睨む。赤也もだ。

「カシスオレンジとか?」

「聞いて驚け、自家栽培梅酒と珍品ヤマモモ酒に中国の酒もわんさかあるぜ。一見の価値アリ。」

「ヤマモモ?」

「ユキチャンに聞いてみろよ。俺より詳しいぜ。食前酒に使えるんだと。」

「やったら今度聞くわ!早よせんと頑固おやじが騒ぐで。」

「わーってるよ。んじゃ、お姫様はご案内。ユキチャン、今度和食のいい店奢るから。まるぶんは死ぬほど一見さんお断りの高級レストランケーキ食わせてやるから。」

「遼、愛してる!約束だからな!?」

「勿論俺が先だよね?期待するよ?」

「期待する価値はあるからな。じゃーな。」

バイクをふかし、遼はレイナを乗せて都内へとノーヘルで向かった。
真田と赤也が、後で騒ぎに騒いだのは…言うまでもない。

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