文句あんのか | ナノ
だって気になるもん


黙り込んだ徳川を嘲笑うように見下ろす遼は、刃向かう者をことごとく潰してきた自負がある。

「まぁ一応俺は自己紹介しとくか。青学中等部三年の佐々木遼、生物学上女で世間じゃ関東最強とか呼ばれてんな。情報屋紛いやってんのは暇つぶし。喧嘩は二十四時間、年中無休で受け付けてんな。」

その時点で女らしさは全く無いが、見た目も手伝って男らしさがありすぎだ。

「本当に、潔いと言うかバカ正直と言うか…。」

「すっげえりえちゃん。こんだけで性格わかんだな。ある意味才能?」

勘違いの才能、だが。遼は悪知恵のかなり働く方だ。大和に知られている事を話しただけで、趣味や家庭の事情など教えていない事は話していない。

「赤い桜と黒鳩は俺が聞いて教えたしな。」

「黒鳩は表沙汰にしちゃいねぇからな。…まぁ、じゅうさんは信じてなさそうだけどいきなり殴りかかるのもアレだな。」

それは非常に危ない命に関わる事と大和はよく知っている。大和の目の前で、テニスコートの柵は放り投げられたのだ。

「そんなナリの女が何人も病院送りにした、噂は噂だろ。」

「信じる信じないは自由だろ。つーかさ、メチャクチャ俺ら目立ってんのにいい加減気付いてくんね?」

道端に5人の若者、ならまだいいのだが濃すぎる面子なのだ。鬼以外はイケメンと呼ばれてもおかしくないヴィジュアル。目立つなと言われても無茶だ。

「…確かに僕らは目立ちますね。」

「ニブいな…みっちゃんといい勝負なぐらい。ま、自販機持ち上げられたら話聞いてやるから精々頑張ってくれや。ちなみにそこの自販機、さっき補充してたから満タン。」

遼とて、キレなければ投げられない物は存在する。素で自販機を投げるのはキツいのだ。人外だからと言って、万能ではない。

「佐々木さん…お願いだからりえちゃんは止めてくれないかな。」

「自販機持ち上げられたら考えてやる。」

ケタケタと笑いながら遼は悠々と歩き出した。

「…アレが、関東最強と呼ばれる佐々木か。」

「はい。鬼先輩より確実に喧嘩は強いかと。」

見送りながら、垣間見た眼光の鋭さが力を語っているように見えていた。大和は胸をなで下ろしていた。

「殺人犯じゃなくても、傷害事件で騒がれないのは何でだろう。」

「情報屋紛い…謎の多い人でも、敵に回してはいけないでしょう。」

その後、大和に尋問しまくる三人であった。対価が無ければ、話さない。遼は神出鬼没だから捕まえるにも一苦労。

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