文句あんのか | ナノ
全員年齢不詳


卒業後、凄まじいぐらいのイメチェンをしていた大和だが…ちょっと変わったぐらいでは、野生動物級に勘の鋭い遼の前では全く意味をなさない。

「あれ?やまとん。久しぶりー。大分イメチェンしてんのに…ヘタレだなぁ。俺派手にやったけどビビるもん?」

普通に怖がります。と言いたくても既に気圧されているので何も言えない大和。五年と経たない内に、遼は様変わりしているように大和には見えた。

「俺とは初対面だけどさ、そいつらも俺に喧嘩売りてぇ金を惜しまないタイプ?入院費だってバカになんねぇのに。」

口だけで笑う遼に、高校生さえ戦慄した。関東最強と謳われる女。

「…佐々木さん、一応俺達は善良な高校生なんだけどな。」

「大和先輩。俺さ、前に情報屋紛いやってるって教えたよな。」

笑いながら目を細める遼は闇にも精通した人間。その気になれば、どんな人間でも威信を失墜させ、経歴を汚す事も可能なのだ。

「一応、って言っただろ。見ない内にでかくなってますます女の子に見えなくなった。」

「…女?」

高校生達の視線が遼へ集まる。私服だとどう見ても男にしか見えないのだから、至極当然の反応だ。制服ですら疑われる。

「やまとんさぁ、もうちょい頭使おうぜ。何かやる時の情報伝達ミスは命取りになるってどっかの軍人辺り言いそうだし。」

「言ったら佐々木さんは問答無用で除外されそうだし見ても信じてもらえないと思う。」

その言葉に、遼は楽しげに笑った。未だかつて見抜かれていないが、女である事を隠さない。

「まな板だしなぁ、ついてないぐれぇしか証拠にならねぇ気がすんぞ。」

「まぁ、紹介だけしておこうか。」

「要らねえ。全部バラミヅキに聞いたしな。じゅうさん(鬼)と、とっくん(徳川)と、りえちゃん(入江)。」

既に愛称と言うかバカにしきった呼び名。普通、食ってかかる所なのだが遼の眼光が許さない。

「…相変わらずと言うか、本当に強い奴しか認めない主義だね。」

「とりあえずそこの自販機持ち上げられたら話ぐらい聞いてやんぞ。俺のやり方は普通じゃねぇらしいからな。オカンルールで俺はやる。」

他は他、自分は自分。荒事のプロだからこそ、土俵に上がるには力が必要と考えている。

「…人類か?」

「とっくん、人語喋って自販機投げるヒトじゃない生き物っていんの?俺ガッコ真面目に行ってねえからわかんねー。」

徳川の質問に笑いながら質問で返す遼。凄まじく凶悪な笑みだった。

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