文句あんのか | ナノ
言い方による
お盆と年始は遼の超が付く程暇な期間。大概自宅でゲームをしながら時間を潰している。先日手塚から告白されても変わりは全く無かった。しかし、今年はやたらと訪問者が多い。
「…なぁおっしー。いくら俺んちのテレビでかいからって何でラブロマ観まくってんだ。」
「今えぇとこやねん!」
どこがどうなってるのか全くさっぱり解らない遼は、暇に飽かして経済の神様と呼ばれる人の本を読んでいる。中学生らしさ皆無。こりゃ夜中まで延々観てるだろうな、と思いながら。
「ティッシュ大量消費しやがって…。」
「鼻赤くならへんなコレ。俺もこれ買お。」
何だかんだで2人とも金持ちの子供である。そして結局、忍足は晩御飯まで食べてまた映画を見続けていたが…力尽きて寝ていた。遼は仕方なくベッドに忍足を転がし、風呂に入って遼も当然ベッドで寝た。事件は翌朝。
「おっしー…髪くすぐってぇって。」
「温いんやもん…。」
傍から見れば男同士がベッドでくっつき、危ない光景にしか見えない。その光景をモロに手塚が見てしまったと言うお約束。
「…忍足?」
「何や…?っておぉぉっ!?何で俺遼と寝とんのや!?」
「そりゃおっしーが映画のエンディング観ながら寝こけたから心優しい俺がベッドに転がしたから。キングサイズなのに引っ付きやがったのはおっしーだ。」
野生動物クラスの勘の良さで、遼は寝ているか寝ていないかぐらいの判別は可能だ。
「うわぁぁ!俺遼と一夜共にしたんか!?」
「いや普通に何度もやったじゃねーか。俺がおっしーんちに何度泊まったか数えてもいねぇぞ。」
誤解に誤解を招く言動の数々である。手塚はもう言葉も出ない。遼と忍足はそういう仲なのだと認識するのも当たり前だ。
「んで、みっちゃん何か用か?」
「…母さんから、お節を頼まれてな。邪魔をした。」
鈍器で頭を殴られたようにグラグラする状態で、手塚は手短に用件を済ませて帰って行った。
「…なぁ遼。手塚エラい傷付いてへん?」
「確かに様子おかしかったな。何でだ?」
疚しさ皆無の2人は顔を合わせて首を捻った。
「困った時の跡部やな。」
「だな。でもけごたん挨拶まわりで多忙じゃねぇか?アレでも坊ちゃまだし。」
「平気や。年始は大概どっか行っとるけぇ呼び出せば1日で帰ってくんで。」
「流石俺様何様跡部様だな…。権力フル活用か。」
「跡部はこの手のゴタゴタ慣れとるし。」
「おっしーはきっちりスケジュール立てるしな。抜け目がない。」
と言うわけで、跡部に連絡してみたところ、国内に居たらしく即文字通り飛んできた。
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