文句あんのか | ナノ
赤い桜


「キャーキャーギャーギャーるっせぇんだよぶっ飛ばされてぇのか。」

「き、君!何年だ!?」

「一年。佐々木遼。」

当時の生徒会長すらたじたじの目つきの悪さ。そして高身長。

「何故、女子の制服を着ているんだ?」

「女が着ちゃわりぃか。確かに似合わねえ自覚はあっけどな。」

ピシッと固まってしまった生徒会長。

「ったく根性ねぇな。掴みかかるぐれぇの度胸と事実受け入れる脳みそ付けなおして出直せや。」

フン、と鼻を鳴らし周囲を見渡す。

「何で男が女子の制服着てんだよキメェな!」

にやぁ、と遼は笑みを浮かべた。

「そいつぁー悪かったなぁ俺は歴とした女だ。何回言わせりゃてめぇら気が済むんだ?安心しろ、手ェ出されなきゃ出さねぇ。」

「何粋がってんだ一年が!」

ガッ!と殴りかかった先輩の拳を腕でガードする。

「11点…面狙うのはいいが丸分かりだぜ。喧嘩はこうやんだよ!」

凄まじい勢いで蹴りを入れた遼。先輩は当然吹っ飛び壁に叩きつけられた。

「どうしたぁ?さっきの威勢はどこ行った?続きやろうぜ田島先輩よぉ。野球部エースだったよなぁ?腕動かなくしてやるぜぇ?」

酷薄な笑みを浮かべ吹っ飛ばした田島に歩み寄る遼は猛獣のように荒々しい。

「聞こえてんだろぉ?立派な耳付いてんだからよぉ。それとも気絶しちまったか?」

片腕で大の男を持ち上げ、顔を見て手を離した。

「どいつか救急車呼んでやれ。サツ呼んでも意味ねぇからな。」

「お前、よくも田島を…!」

「オイオイお友達ごっこはよそでやってくれや。敵討ちなんざ俺には通用しねぇんだよ!」

殴りかかった先輩達を次々に沈めていく遼はあっという間に返り血で拳が赤くなっていた。

「佐々木!止めておくれ!」

「おはようスミレちゃん。爽やかな春に相応しい地獄絵図だろ?」

両腕を広げて倒れ伏した男子生徒の中両手を赤くした遼が笑う。

「俺から喧嘩売ったワケじゃねぇしー。死んじゃいねぇと思うぜ。何も投げてねぇから。」

「入学早々これじゃ先が思いやられるね…。」

「こいつぁー俺に喧嘩売ったらこうなるって証拠だ。同姓同名の他人だと思ってたんだろ。」

それもその筈、佐々木遼は女だと認識されていない。男にしては細身だが。

「桜の木の下には死体…」

「いやいや勝手に生徒殺すなよ。俺殺人犯になんじゃねーか。」

偶然、1人の男子生徒が満開の桜の下で気絶していたのだ。


卒業後も語り継がれるであろう、最強の女子中学生の伝説。その最初の1ページは鮮血の文字で書かれている。

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