文句あんのか | ナノ
お約束だが役が


久々に学校へ行った遼は、手塚の言葉に固まった。

「演劇部無かったか?」

「…人手不足と人気投票の結果だ。」

「うん、確かに数は少なかった記憶はある。演目はともかく、何でしゅうちゃんオフィーリアでみっちゃんハムレットで俺がレアティーズ!?お菓子か俺!」

「佐々木…レアティーズはオフィーリアの兄だ。」

「尚悪いっ!つーかしゅうちゃんの発狂シーンとか復讐に燃えるみっちゃんとか想像出来ねえって!」

「…レアティーズは性格的によく似合うと思うが。」

「衣装考えてくれ前生徒会長!俺とかみっちゃんがあのヒラヒラしたの着るんだぞ!?」

「…俺が反対しなかったと思うか。」

「いや絶対反対したと思うぞ。みっちゃん以上に可哀相なのは女子生徒の皆様だろ。」

「菊丸も泣いていた。王妃役だからな。」

「畜生ちゃっちゃとメールくれたらあらゆる情報駆使して阻止したのに!」

バンッ!と机を叩く遼。今回ばかりは同情を禁じ得ないクラスメート達。

「八割テニス部関係者とか明らかに集客目的だろ!」

「だな。」

「受け入れてんじゃねーよけごたん見習って強権発動させろよ!」

「見習いたくない。」

「気持ちはスゴく解る。でも使える権力使おうぜ…うわぁイヤすぎるサボっていい?」

絶対知られたら笑いに来る奴らが多すぎる!と頭を抱える遼。

「…勢いに負けた。」

「よし。ありとあらゆる手段で開演不可能に追い込んでやる。要は俺がやらなきゃいい。入院するまで喧嘩しまくってやる。」

「早まるな佐々木!お前も投票結果で選ばれたんだぞ!」

「そんな情報要らねえっ!選ばれたくねえよ!売人突き出しまくれば上が騒ぐんだ!」

「…知名度の高いのは崩壊に追い込んだとお爺さんに聞いたが。」

「みっちゃん、甘いな。ネズミは増えるもんだぜ?ゴッキーと一緒だ。根絶やしには出来ねえよ。」

「…それはともかく、穏便に出来ないのか。」

「一番手っ取り早いのは青学トップ様のあんな事をタレコミして学校終わり。」

「穏便さの欠片も無いだろう。」

「…じゃあみっちゃん俺の右足か左足折れるか?」

「俺を犯罪者にする気か。」

「いやそれで俺は出演しなくていいわけだし。」

「ついでに俺の名も地に落ちるだろう。穏便にと言った筈だ。」

「あのなぁ、みっちゃん。俺と二年以上関わってて要求するとかすげぇ暴挙だぞ?」

「荒事専門と言うかプロフェッショナルやスペシャリストと言えるな。」

「ならどうして俺だけでも止めてくれなかったんだよ…!末代まで祟るぞ!?」

「お前はリアリストだった記憶があるが。」

「言葉の文だ!そんな根性ねぇよネチネチネチネチ恨むとか無理!」

「確かに俺も無理だ。」

「畜生本気で恨める気がすんぞ投票した奴ら。」

「…」

「オイコラ待てやみっちゃん。あからさまに目ェ逸らしやがってテメェも投票しやがったな!?」

「生徒の義務だ。」

「モロ悪役ならみっちゃんも出来るだろ!俺に負けず劣らず目つき悪いじゃねーかカオリンの次に!」

「レアティーズ役は海堂か佐々木かで揉めた。」

「カオリンでいいじゃねーか!」

「海堂は部の出店がある。」


不穏な事を呟き続ける遼に手塚は諦めろとしか言えなかった。…オフィーリアに遼をと投票していたのは関係者のみが知っている。

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