文句あんのか | ナノ
かなり恥ずかしい暴露
「このくらいの事で自殺とは何だ!俺の腐れ縁のT君なんかなぁ!目つきの悪さと運動神経の無駄な良さで先輩から利き腕を傷付けられ!笑顔を振り撒くキャラでも無いから近寄りがたさ年々グレードアップしまくり!つい先だってはホモ疑惑さえかけられ!それでも顔を上げて生きてんだぞー!!」
「佐々木お前ー!!」
「と言うわけで俺の腐れ縁のT君。さ、思う存分思いをぶちまけたまえ。」
はい、俺の役目終了とばかりに悠々と立ち去る遼。学校にいる時に、手塚をはじめとするテニス部レギュラーを呼ぶ際、遼に頼むのがセオリーになっている。報酬は得意料理のレシピ。
「て、手塚先輩…。」
「…気持ちは有り難いがすまない。一回佐々木と腰を据えて話さなければ。」
ずんずんと歩き出す手塚の眉間には深い皺。
「段々バリエーションが少なくなってきたな…私生活暴露ってみっか?」
「プライバシーの侵害と言う言葉を知っているか。」
「お?意外と早かったな。ソッコー断った系?」
「誰がいつホモ疑惑をかけられたんだ。」
「みっちゃん知らねえ?やたらとリョマたんに構ってっからそっちとか噂あるんだぜ。」
加えて俺と絡むからそういう趣味だって。遼はペラペラと噂を並べ立てる。
「以上、俺の知ってる噂。俺は女だから同性愛者疑惑かけらんねぇしー。」
思いっきり他人事で楽しんでいる遼だが、道を歩けば女の子からキャーキャー言われる悲しい女。
「不二も似たような手口で呼びつけたらしいな。」
「うん。俺って意外と声デカいみてぇだな。」
不二の場合はヘタな女の子より美人で男に言い寄られ!運動も頭もオッケーすぎる万能さのあまり弟に嫌われ!つい先だってはプライドをへし折られたと言ったのだ。嘘ではない。
「もう少しまともな呼び方は無いのか。」
「正攻法で言っても来ねぇの知ってるし。強制的に呼んだ覚えはねぇぞ?」
にやぁ、と笑う遼。暴露しただけで確かに呼んではいない。
「…悪党が…」
「何を今更。この面で正義の味方とかイヤだ。」
確かに嫌だ。手塚は深々と溜め息を吐いた。
「…佐々木には弱みばかり握られている気がするぞ…。」
「気のせいじゃねぇぞ?いやあかっちゃん意外と孫見てんだなぁ。」
つまり、幼少期の恥ずかしい思い出の数々を知っていると手塚は解釈した。
「…必ずお前の弱みを握ってやる…。」
「そいつぁー楽しみだな。期待してるぜ?」
ケラケラと笑いながら遼は教室に向かった。
似合わない趣味を持っている訳でもない。乾すら弱点が一つしか無いと言うが普通すぎる弱点だ。試作段階でも青酢で自我を保っただけ驚異的すぎる。…暫くの間は酢を使わない料理ばかりだったが。佐々木の弱点か…乾と共同戦線でも敷いてみるか。
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