文句あんのか | ナノ
ゲーセン荒らし
唐突だが、遼はゲーセンが好きだ。が。大概のゲームでランキング一位を不動のものにしてしまっている。ランキング名はイニシャルだ。ゲーセン通いをする人々は遼とは知らず、挑戦しまくっている。
「だぁぁぁっ!何でハイスコアなのに二位!?」
「にゃはは!桃へったくそ〜!」
「英二先輩だって負けてたじゃないっすか!」
「一位バケモノだよにゃ〜。最高難易度パーフェクトだし。」
「あっちこっちのゲーセンで…まさか」
言いかけて桃城が固まる。菊丸も笑顔が固まった。
「…有り得る…佐々木ちゃんなら有り得る…。」
「じ、じゃあ仕方無いッスよね!遼先輩なら!」
後日確認しようじゃないかと2人は決めた。
「ねぇ佐々木さん〜ゲーセンにこないだ桃と行ったんだけど、ずっとランキング一位の人って知ってる〜?」
机にべったりしながら菊丸は上目遣いで遼に尋ねた。しかし遼は目をぱちくりさせて
「まだ俺一位だったんだ。飽きて行かなくなったのになぁ。」
その言葉に菊丸は机に突っ伏した。やっぱり。最新機種には名前が無いのはそういう訳があった。
「つーかさ、菊猫。俺のクラスでそんな事言っていいのか?」
後ろの正面だぁれ、とばかりに菊丸が振り向くと手塚が仁王立ちしていた。
「菊丸…今はテスト期間中だな。」
弁解が出来ない菊丸。テスト前の休み、もう俺終わったと諦めて、桃城とゲーセンで遊んでいた事を自ら暴露してしまった。
「加えて次のテスト英語だったよな。」
「三十六計逃げるに如かずだにゃー!」
自己最速のダッシュで菊丸はクラスに逃げた。
「待て菊丸!」
「いやみっちゃん…待てとか逃げるなとか言われて素直に待つ奴いねぇと思うぜ?」
「50周だな。桃城も含めて。」
お気の毒様、と遼は合掌していた。俺はもう諦められてるから安全なんだ。
「さーて今日はどうすっかな。潰せるとこ昨日で潰しきったし。」
「勉強しろ。何なら夕食と寝床と俺という家庭教師も付けてやる。」
「忘れてた!今日ルパソじゃん!」
教科書を見ていた顔を上げる遼。
「話を聞け!カリオスト○なら録画していただろうが!」
「みっちゃんからジブ○の話聞くの新鮮だけどとっつぁんが俺を待ってる!」
「待っていない。」
「みっちゃんノリ悪い〜」
唇を尖らせる遼だが遊んでいる証拠である。やたらと付き合いの長い手塚は深い溜め息を吐いた。
「お前はもう少し危機感を持て。」
出会った頃と違い、佐々木は表情豊かに他人を引っ掻き回して遊ぶトリックスター気質だ。加えて容易に読ませない。高校もこのまま腐れ縁が続いてしまったらと思うだけで頭痛がしそうだ。佐々木は特に夢など無いと言っている。…手に入らなかったものがあるとそうなるのか?俺には、何か出来ないのか?
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