文句あんのか | ナノ
似てなくもない


「ふーんへーぇほーぉ。これで満足かタケピー。」

寝起きに突撃してきた桃城に遼は不機嫌そうに言う。寝起きは最悪なのだ。

「う、すんません佐々木先輩…。」

「つーか焼き肉バトルとかどーでもいいぞ。奉行なの知ってるし。」

「い、いやあの!木手ってヤツが佐々木先輩は居ないのかって!」

「嗅ぎ回ってんのも知ってる。大した情報集まんねえだろうがな。」

ふん、と鼻を鳴らしコーヒーを飲む。パジャマすら男物なのだ。…規格外な体格とは不便極まりない。

「でも、佐々木先輩んち青学じゃ有名ッスよね。」

「居る確率低いけどな。バラミヅキとかレンちゃんも知ってんぞ。」

バラミヅキと聞いて桃城は爆笑した。

「先輩、すげー笑えるッスよ!」

「タケピーは他人事で笑うの好きだよな。リョマたんの恋路とか。」

「いや、だって気になるッスよ。一年で彼女とか俺考えた事無かったんで。」

ヒーヒー笑いながら目尻に涙を溜める桃城。

「さくちゃん超素直ないい子ちゃんだからなぁ、リョマたんとは微妙だろ。」

「佐々木先輩見て涙目になってたッスよね。」

「私服の俺は女らしさゼロで男前らしいな。雑誌に載って以来運命の人とか言われてんぞ。」

「佐々木先輩男だったらよりどりみどりッスよね。」

「褒めてねーぞ桃城。気象予報出来ても無駄っぽいなぁ。」

胡座をかいてコーヒーを飲む姿はまさしく男。真夏だというのに、体の線は女性らしくない。

「佐々木先輩女で良かったッスよ?テニスやられたら絶対負けるッス。」

「ホントお前らテニスしか脳みそにねぇな。俺みたいな器用貧乏がやっても意味ねぇだろ。」

「タカさんより馬鹿力で器用貧乏とか…言えないッスよ?」

「料理洗濯裁縫喧嘩、こんだけ出来りゃ器用貧乏だろ。」

「掃除はあんまやんねーみたいッスね。」

「やり始めっと止まんねえからな。」

「あ、佐々木先輩ってダーツやるんすね。今度勝負しません?」

「言っちゃ何だが上手いぞ?」

「俺も自信あるんで。」

にやぁ、と笑う遼に不敵に笑い返す桃城。こんなマネは桃城にしか出来ない。

「下馬評じゃ新部長カオリンらしいけどな。頑張れ新副部長。」

「うわ佐々木先輩ヒデェ!鍵当番とか無理ッスよ!」

「ありゃ単にタマゴが早いからだろ。カオリンもランニングの為に早起きだけどな。」

「ホント何でも知ってんすね…。」

「知らねえよ。知ってる事しかな。」

「深い言葉ッスね。」

「さて。飯食うか?腹減ったし適当に何か作るぞ。」

「食います!」

目を輝かせる桃城に薄く笑みを浮かべ遼は食事を作り始めた。


佐々木先輩、何か隠してんな…。いや情報じゃなくて先輩自身の事。そこまではかなり遠いな。佐々木先輩は踏み込ませない。見た目も手伝って。聞くには情報を提供しなきゃいけないのがきっついな…。

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