文句あんのか | ナノ
理解者いないの?
雑誌掲載以来、モデルにならないかと散々声をかけられまくり、女だと幾度も身分証を見せてくぐり抜けてきた。関東最強と謳われる遼。…一部の格闘技マニアからはピーターアーツの再来とすら呼ばれている。
「でさ、サダ。ピーターアーツって誰?名前は聞いた気がすんだけど。」
「K-1…総合格闘技において二十世紀の暴君と謳われた蹴りを得意とする選手だな。」
「へー。格闘技ってこたぁルールあんな。」
「佐々木はルール違反で負けるか一撃で仕留めるだろうな。」
遼は首を傾げ
「そんなに打たれ弱いのか格闘技選手って。」
「佐々木が丈夫すぎる。」
「二、三日病院で寝たこたぁあるぜ?」
「骨盤にヒビを入れられて二、三日で済む化け物はお前だけだ。」
ポリポリと頬を掻きながら遼は思い出し
「痛くなきゃオッケーじゃねぇの?流石に肋二本やられた時は家で大人しくゲームしてたぜ。呼吸で泣きたくなるぐれぇ痛かったアレは。」
「二週間だったな。繋がってもいないのに動き回る事が異常だ。」
「痛くなきゃ動く。情報は生き物だからな。新鮮な情報を早く入手すんのが俺のささやかな楽しみ。」
「…それはささやかなのか…?」
「サダだってわかんだろ?どこのどいつがどんな技身に付けただプレイスタイルが変わっただのさ。」
「ふむ、分かり易い例えは有り難いな。」
「俺は興味ねぇから。頼まれりゃ調べてやるけど予備知識要るし。」
大きな欠伸をしてバキバキと関節を鳴らしながら伸びをする遼。
「おっかしーな、サダのアドバイスでストレッチしてんのに。」
「極端に体が固い訳ではないからな。継続は力なり、だ。」
「結構体使ってる筈なんだけどな。飛び蹴りだってバネ要るし。」
「制服で蹴りをやるなとは言わないが、極力控えてくれないか。」
「短パン穿いてんのに?」
「…いくら男じみていても女だな。」
「超今更。見せても楽しかねぇし見たくもねぇだろという俺の親切心だ。暑いの我慢してんだこれでも。」
「喧嘩前提で動き回るからな。8着目だったか、制服は。」
「年明けに注文してっから11だな。残り4着。」
血で汚れたり切られたりしていれば嫌でも注文せざるを得ない。加えて身長も伸びていたのだから。
「特注だから値段も推して知るべしだな。」
「オヤジがそこそこの地位にいるのと、幾つかマンションぶっ建ててやりくりしてっからな。」
「だから最上階、という事か。」
「そ。流石にぶち抜きで使おうとしたのは止めた。意味ねぇし。」
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