文句あんのか | ナノ
性別的には問題無し


「なぁすーさん。俺と居て何が楽しいんだ?」

可愛らしい女の子が好みそうな喫茶店。コーヒー片手に遼は千石に聞いた。

「あっくん負かしたって聞いていてもたってもいられなくてさ。しかも女の子とか俺ラッキー!」

「…俺が言うのも何だが守備範囲バリ広すぎだろ。周りを見ろよ。俺ら明らかに浮きまくってるぞ。」

チラッと周囲を見ればイケメン2人がダブルデート待ちだ、もしかしてそっち系?だと注目の的だ。

「…あ、あの子可愛い。」

「したけりゃナンパして来いよ。俺までいたら絶対アウトだぜ。」

クックックッと笑いながら千石を見る目は手ェ出したらぶっ殺す、と言わんばかりに輝いていた。

「いや、あの遼ちゃん。マジメに怖い。すんませんホント。」

「俺が居る時に青学で女の子チェックしてた口がよく言うぜ。」

目を伏せてコーヒーを飲む姿は一級品の美形だ。上質な服を着せて跡部と並べても遜色ないと千石は見とれる。睫毛は長く、パーツの一つ一つは実に整っているのだが…いかんせん男らしさが全面に出ている。

「遼ちゃん絶対化粧したら絶世の美女になるのになぁ…。」

「カマっぽく見えるだけだろ。つーか靴に俺サイズねぇよ。普通に使ってるスニーカーも外国人仕様だぞ?デカすぎも苦労すんだ。」

「俺よりおっきいもんね。俺も結構服に合う靴探すの大変だし。」

「どうせラッキーで即見つかるんだろ。」

「ははっ、アタリ。遼ちゃん鋭いよねホント。」

「情報屋紛いやれる程度にはな。壇太一、アレあっくんに付きまとってんだろ?あっくんの体格とか全く考えてねぇな。」

「可愛い後輩だけどね。真っ直ぐ純粋天然100%って感じ。」

苦笑する千石に遼は溜め息で返した。

「こっちにゃ合わないタイプだな。駆け引き下手だろ?」

「大正解。一応テニスって駆け引きあるんだけどねぇ…。」

「サナゲン並みに強くなきゃ真っ向勝負とは行かねえよな。」

「サナゲンって…立海?」

「おぅ。めちゃくちゃ嫌われてるぜ。殴り合いになだれ込むとあぶねえな。」

それに楽しげに笑う千石は顔を近付けて

「遼ちゃんじゃなくて、真田がだろ?」

「負ける事はねぇと思うが骨の一本は覚悟しなきゃいけねぇな。」

「でも迫力満点だと思うよ?真田と遼ちゃんの睨み合いとか怖いって。」

「多分紳士か詐欺師辺りが仲裁に入るな。俺は一応青学の女子生徒だし。女に殴りかかったとなれば…」

「遼ちゃんすっげーやな奴だなぁ。脅迫じゃん。」

「心外だな、事実だぜ?」

「それが悪質。」

「コートに立ったが最後人生終わりそうだけどなぁ、サナゲン相手は。」

「いや?意外に潔いよ。」

「想像しにきーな。かなりスパルタらしいけど。」

タイプの正反対なイケメン2人と女の子向け雑誌に載るのは1ヶ月後。

遼ちゃんはホントにミステリアス。男と思ってたら女で、下手な男よりカッコ良くて強い。人生楽しんでて羨ましい。惚れちゃいそうだな。

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