文句あんのか | ナノ
青学罰ゲーム定番


「あの、佐々木さん…。」

「お?どうした菊猫。なけなしの勇気振り絞って今にも泣きそうだな。」

昼休み、大概蹴破ってきたドアを破壊する事無く鍵で開けて昼食を食べ、のんびりと情報確認していた遼に菊丸が話し掛けた。

「エビフライの作り方教えて下さい!」

「…お母さんに習え。」

どんな罰ゲームだよ。内心思いつつ呆れまくった遼。

「手塚が言ってたんにゃ!佐々木さんの料理美味しいって!」

「あー。成る程な。みっちゃんちょくちょく食ってるからな。」

それが悔しいんだと言わんばかりに菊丸は遼の腕に縋り付いた。

「プリプリエビフライの作り方教えて!」

「コツはフツーに氷水で締めるだけ。」

会話終了。菊丸はムードメーカーなのだが通用する筈もない。可愛いモノ好きだったり母性本能を刺激されたりしない遼を相手には難しかった。

「…手塚のお弁当たまに作ってるって聞いたにゃ。」

「あぁ。手伝ってるとは言えタダ飯ってイヤだからあやちゃんにゆっくりしてもらおうって。はるるんはちょっと遅いけどかっちゃんとみっちゃん朝早いからさ。大概出歩いて雑魚散らして帰る頃には空白いし。」

「…佐々木さんって毎日そんなんなの?」

流石に生々しくて菊丸は引いた。

「いや?情報集めにあっちこっち行ったりタイマン売られて怪我して知り合いんちで寝たり。」

コンクリートジャングルサバイバル実施中状態に近いかもしれない。

「そーいや最近季楽と会ってねぇなぁ。その内行って遊ぶかな。まだ男だって信じてるし。九鬼はいい面して楽しかった。」

うんうんと自己完結していく遼に菊丸はじぃっと見つめて

「怪我とか、してない…?」

「怪我しねぇ喧嘩ってあるか?そりゃリンチだろ。」

「でも、自販機投げるし…佐々木さんならしなさそうだし。」

「いやいやいやいや。俺どんだけ超人扱いなの?肋骨折られたり骨盤にヒビ入れられたりしてっから。」

パタパタと携帯を持つ手を振る遼。しかしそれでも動き回るから、恐ろしい。

「今は…?」

「鉄パイプで頭ぶん殴られてたんこぶ出来た。石頭超えて鉄に近いなこれ。んでちぃと知り合いんちで寝て今日はおっしーに弁当作った。」

正確には気絶に近い。精神力だけで忍足の家に行ったのだから。

「佐々木さん…女の子なんだから…。」

「菊猫…こんな男にしか見えない女に言うセリフじゃねぇよ。お前可愛いって評判じゃねーか。」

「だって俺…助けられても何も出来なかったし…」

「気が向いただけだって。何でこう義理堅い連中だらけなんだ。」

押し問答のような昼休み。


ねぇ佐々木ちゃん、佐々木ちゃんには心配してくれる人、いないのかにゃー?強くてカッコ良くて俺の理想に近い…女の子。俺が守ってあげるとか、言えない。だって佐々木ちゃんはそんなもの要らないくらい強いから。どうしたらそんな風になれるのかにゃー?

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