文句あんのか | ナノ
貰えない男子に謝れ


バレンタイン、それは女の戦場だ。遼は当然、逃亡を画策している。くれと言うような物好きもいないのだから。

「いやー持つべきものは似たような考えを持つ知り合いだな。」

「いや、俺単に風邪なんやけど…。」

それに遼はフッと笑い

「昨日は夕方から雨が降ったよなぁ…冷たい雨だったよな…。」

「…解っとんのか。」

「たりめーだ。まぁ…ご親切なお宅の部長様がお届けに上がる可能性もあるな。俺は除外だろ。」

「いや、跡部やったら回収しかねんで。にしてんお粥美味いな。」

「出汁を鰹にしただけだぞ?一体どんな食生活してんだか。」

はふはふと遼お手製梅干し粥を食べる忍足。

「モテる男は辛いな。ホワイトデーも地獄だろ。」

「匿名は返さんで。」

「そりゃそうだ。」

ポスッとソファに座り堂々と足を組む遼。小さな足音が聞こえる。

「…何か来る。俺の知ってる気配だ。」

「どんだけ野生化しとんねん遼は…。」

「おっしー、お前んち知ってんの誰だ?」

「基本氷帝やな。」

「おっしーんちには泊まりに行くって言ったけど俺の日中潜伏すっとこ把握されてたらアウトだな。」

「どこの殺人鬼やねん。」

「殺した記憶はねぇ。俺の行動範囲バリ広なんだけどな。しかも平日、優等生の皆様が動く筈も無い。」

「鳳的な奴らやな。不真面目代表は青学やったら誰や?」

遼は迷わず自分を指して言い切った。

「俺。」

「遼は不真面目どころか問題児やん。超が付くで。」

「可能性としては…菊猫ぐれぇか?でもあいつにゃそんな頭ねぇし。」

ピンポーン

「何やー?」

忍足がごそごそと対応に向かう。

「うーん、氷帝の女子が見たら絶叫しそうだな。」

寝乱れたあったかそうなパジャマに熱で色気倍増。俺じゃなけりゃ殺されてんだろうなぁと悠長に考える。

「遼ー?保護者が来てんで。」

「保護…者?いやオヤジは帰って来るときゃ連絡すんぞうぜぇくらいに。」

「親父さんやったら知らんやろ。」

「しかも俺保護対象になるような人間か?って…何故みっちゃんがいんの。」

学校どうした生徒会長。

「跡部から聞いてな。」

「…おっしー、生徒会長権限ってこんなフリーダムなもんだっけ。」

「跡部限定やと思っとったで。」

「けごたんはかなり横暴タイプだよな。美しい暴君ってけごたんだと思う。」

のんびりと会話をする2人だが遼は思い出したように手を叩き

「ヤッベ粕汁火にかけたまんまだった。」

「わーい遼の粕汁やー。温まってえぇな。」

「だろ?年末に新巻鮭買っておっしーにやろうと思ってて忘れてた。ネギも刻んだからもう出来るぜ。」

「逃げられると思っているのか。」

「だって俺超心優しい事に友達看病に来ただけ。」

「自分で言うんかい。」

結局学校には行かなかった遼だが、そんなものは周知の事実。後日チョコを渡されていた。

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