文句あんのか | ナノ
二十歳を過ぎてから
年末。一般的には大掃除やお節の仕込みなどに誰もが大忙し。冬休みと言うことで遼は喧嘩三昧。
「イマイチ今年は歯ごたえがねぇなぁ…。」
「テメェが狩りすぎてんだよ。」
「あっくんこそ売りまくったんだろ?俺のせいにすんな。」
遼の年末恒例、毎晩喧嘩。ある意味大掃除と言えるのかもしれない。
「佐々木君!今年もよろしくね!」
警官は大迷惑の筈…でもない。検挙率が上がるから出世に近付ける。暴走族担当亜久津。街にたむろするガラの悪いいい年こいた兄ちゃん担当遼。…何故かそう認識されている。華やかな街では遼は守護神扱い。いや俺未成年で義務教育中なんだけど、と最初は言い続けたがもう諦めて、お礼の品とばかりに酒のコレクションが出来ている。
「肩痛くなってきたな…年か?」
「自販機13個も投げれば痛くなるだろ。」
「あっくん…数えたのか?」
凄まじく不毛で下らない話だ。
「暇潰しだ。自販機背負って追い掛け回してっとこ見かけてから数えた。」
ふぅ、と煙を吐いて亜久津はタバコを放り捨てた。
「あっくん、俺んちで飲まねえ?酒溜まってんだ。」
「わるかねぇな。」
と遼の自宅で遼秘蔵のガンダ○シリーズを観ながら酒をカパカパ飲んでいく。
「遼…初代から集めたのか。」
「だって面白ぇじゃん。ドロドロしてて。」
お前は主婦の楽しみ昼メロでも観とけ!ガンダ○の醍醐味は戦闘だろ!いや戦略だ!と果てしなく年齢を疑われるやり取り。
「秀逸は逆シャ○だ。」
「あれは確かに名台詞多いよな。過去捨てるとかかっけぇ。」
お前ら何歳だ。としか言えない会話。遼は単にゲームで存在を知りハマった。
「つーかあっくんが親父にも殴られた事無いのにとか言ったら俺笑い死ぬ。」
「散々殴ったテメェが言うか。」
「面殴ったっけ?」
「殴った。ヒビ入らなかったのが奇跡だ。」
「普通入らねえと思うぞ?」
「馬鹿力に殴られてんだよ俺は。」
「最後のスコッチ、俺とっておき三十年モノロイヤルサルート!」
「…そんなに長く貯蔵するモンだったか?」
「いや瓶に入れたまま放置プレイされてたらしい。と言うわけで有り難く飲め。俺に感謝しろ。」
2人して酔っ払いの為、話が突然変わりまくる。タバコ臭い上に酒臭い、最早中学生の部屋ではない。遼はザルのようで、亜久津は翌日二日酔いで頭を抱えていた。酔いの醒めた遼は、姑にどう言い訳するべきか悩みまくった。
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