文句あんのか | ナノ
忘れそうな事実


珍しく手塚視点。色んな事を妄想してみると楽しいと思います←


連絡がつかない、と方々から苦情が殺到し、心当たりが無くもない俺は佐々木の家に行った。先日掃除をしたばかりなのにペットボトルが散乱しているが…食品類の袋が全く見当たらない上にペットボトルの上で佐々木は携帯片手にぐったりしている。…ある意味感嘆に値するかもしれない。

「佐々木、生きて…」

触れた頭が汗でびっしょりと濡れていた。嘔吐はしていないようだがかなりの重症だ。しかし、こいつを持ち上げられるのか?…やむを得ない。腹を抱えて持ち上げようとしたら意外と簡単に持ち上がった。軽くはない。断じて。10キロ以上差があるのだから。しかし…パジャマも汗でびしょびしょだ。着替えさせるべきなのか…?汗っかきだとは知っているが一応佐々木は女だ。しかも判断力が落ちているのは自明の理。

「みっ…ちゃ…?」

とりあえずベッドに転がし意識はある事を確認出来たが、目はぼんやりしたもので吐息も熱い。顔色も青白いのと紅潮したのとで体調は最悪だ。声もいつにもまして掠れている。

「何か食べたか?」

ゆっくりと首を振る佐々木の首は赤い。かなりの高熱だ。…相手は佐々木だ。病人だ。いくら珍しい子供っぽい仕草をされても。妙な気分になるな俺。震えている手も汗で濡れている。

「食欲はあるか。」

それにも首を振る佐々木に救急車を呼ぶべきか悩む。

「さ、む…。」

毛布を掛けてやったが毛布も湿っぽい。…脱水症状になっていないのはペットボトルが証明している。だが佐々木の口に合うものを作れるか甚だ怪しい。余り料理は得意ではない。

「薬は飲んだか?」

コクリと頷く佐々木。額に手を当ててみたが汗でよく判らない。体温計は確か薬箱の中に入っていた。取り出して計らせる。39度5分。…病院に行く体力すら無いわけだ。

「とりあえず着替えて…毛布も洗濯だな。」

と言った瞬間佐々木は迷わずパジャマ(もといジャージ)を脱ぎだした。慌てて着替えを出す為に背を向け手を止めた。…下着も確実に汗を吸っている。どうするべきなんだ?場所は知っているが人としてどうなんだ?悩んでいる間に佐々木は脱ぎ終わったらしい。衣擦れが聞こえなくなった。見ないようにジャージを差し出すが、なかなか取らない。チラリと目を向けると大分距離があった事を思い出した。寒さで毛布を被っているのが救い。…全部脱いでいる。こうなったら自棄だ。気が済むまで看病するしかない。

結局泊まった…寒いからと抱きついてきた佐々木の体はやたらと熱かった。…次は跡部に任せようと思う。

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