文句あんのか | ナノ
移された方は大変
手塚の風邪をモロにうつされた遼。こりゃ3日は身動きとれねぇなー、とベッドでぐったりしていた。コロコロとのど飴を転がしながら水分補給、とスポーツドリンクをカパカパと飲んでいる。パジャマは汗で気持ち悪いぐらい湿っているのに動く気にもならない。
恐るべし、みっちゃんの風邪。
声にならない声で呟き、暑いのか寒いのかすら判断できない。かなり重症だ。
大丈夫…1人は慣れてる。誰も何も居ない空間でぼんやりするのも嫌いじゃねぇし病院行く気力もねぇ。
弱気な自分を嘲笑う。無いモノを願っても無駄だ。こういう所で、遼は老成している。携帯も電池切れ。まさに四面楚歌。復活まで何日かかるかなー?つーか早く風邪薬効け。眠らせろ。そんな無茶な要求をするぐらいには、遼は弱っているようだ。朦朧とする意識の中で、何か食わなきゃ治るもんも治らねえんだけど…喉痛すぎて何も食いたくねえとすら考えてしまう。
母親か…どこにいんのかすら掴めねぇのにな。俺の世界は小さい。世界に絶対は無くて、知らない奴をからかって遊ぶだけ。何故産んだ?何故育てなかった?聞きたい事は山ほどある。コンビニに行く気力もねぇみてぇだな…ドリンクも2リットルが後一本。今日を乗り切れば明日何とかなると思いたい…。暖房つけたいけど喉悪化間違い無し。風呂入りてえなぁ…。
纏まらない思考で視線がさまよう。
根無し草はここでくたばるかもな。
ふっと意識が途切れた。
再び目を開け、喉が渇いたとぼんやりした頭でペットボトルを手に取り、根性で起き上がって飲む。倦怠感は変わらない。蓋をしめてまたベッドに倒れ込む。
新調したベッド汚したくねぇなぁ…せっかくのキングサイズだってのに。つーか今何時だ?毛布どこ行った…?
毛布を足で手繰り寄せ頭から被った。怪力は健在のようだ。毛布も汗を吸って重くなっている。かなり汗をかいているようだ。
充電器遠いな…さみぃ。腹減らねぇとかヤバくねぇか?あんだけドリンク飲んでりゃそうなんの?
最早声も出したくない状態で、寒さに強い筈なのに震え続ける遼。蛇のように這って、何とか携帯を充電状態にして開くと着信の山。
メールで返事無いけど大丈夫?って大丈夫じゃなかったら返事できるか!うわぁしゅうちゃんからメール来まくり…みっちゃん有難う携帯持ってなくて。
ガチャガチャと家のドアが開く音。幸村、手塚は鍵を持っている。
…多分俺オワタ…
嫌な予感程よく当たる。手塚がやって来た。
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