文句あんのか | ナノ
手塚だって真田だって
手塚が風邪でダウン。と言う事で遼は国一に呼ばれて手塚家へ訪問。未だに諦められていない計画は実行中なのだ。
「みーっちゃん。ヒエロン買って来てやったからデコ出せ。引きずり出すぞ。」
「病人に…ゲホッなんて事を…」
「喉やられたか。俺オススメ漢方のど飴食える?」
コクリと頷く手塚。話すのも嫌なぐらい喉が痛い。遼に手渡され飴を口に入れ、ヒエロンを額に貼られた。
「よし、ミッションコンプ。んじゃお大事に…ん?どーしたみっちゃん。」
服の裾を掴まれた遼。手塚はプライドが高いから、弱っているところなど見せたがらないと遼は思っていたのだが病人は気弱になる。遼は苦笑して手塚の頭を撫でてやった。
「解ったよ。居てやるから寝な。」
ペタンと座り遼は手塚のベッドに背を預けた。暫くすれば安心したように手塚は寝息を立て始める。
「…みっちゃん、何だかんだで寂しがり屋。」
あやちゃんも居るのに何で俺なんだか。つーか俺もねみぃんだけど。この姿勢で寝たら確実に関節痛くなるし。床で寝るか、と脳内会議で決定しゴロンと横になった。
「遼…?」
目を開けた手塚は眠気でぼんやりした頭で思い出そうとした。風邪をひいて結構な熱を出して、喉も痛くてまともにものを食べるのも億劫で、寝ていたら佐々木が来て…何やってんだ俺!と自爆していた。
「んぁ?みっちゃんおはよう。喉どう?」
「かなり、楽にはなった。礼を言う。」
「もう一個食っとけ。まだ掠れてんぞ。」
むくりと起き上がった遼にまた飴を手渡されて舐める手塚。さり気なく額に手を当てられて
「あ、もう温まってんな。デコ出せ。」
またヒエロンを交換され、強制的にベッドに沈められる手塚。…何故か落ち着いてしまう。
「…遼。まだ、居てくれないか?」
「みっちゃんお子様。居てやるよ。」
ポンポンと頭を軽く叩かれて笑われているのに凄く安心してしまう。子供じみた独占欲。何故か今だけは、自分の為だけに居てくれている気がしていた。いつも巻き込まれているのは俺なのに、と内心苦笑してしまう。柔らかいハスキーボイスに安心してしまう。
「国光、お粥食べられそう?」
「…はい、母さん。」
「遼さんも有難う。お茶でもどうぞ。」
「ん、ありがと。」
彩菜の去った空間で、黙々とお粥を食べる手塚と茶菓子を食べる遼。おちょくっても楽しくない時は遼は基本的に静かだ。薬を飲み、またベッドに沈められる。居てやるよ、と言われるとくすぐったい気分になる手塚だった。
何故だろうな、佐々木には見透かされている気がする…ちょっと待て。俺は名前で呼ばなかったか?確かに佐々木は気にしないと言ったがこちらが気にする。そもそも何故佐々木が居る。確かに心細いとは思ったが言ったか?裾を掴んだ…俺は幼稚園児か。気を張らずに居られる貴重な時間を核弾頭と過ごしているのか俺は!?…熱のせいだ。
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