文句あんのか | ナノ
伸びるんです
前髪を引っ張る遼。いい加減邪魔になってきたけどここは女らしく伸ばしてみようかとも考えていた。
「どうしたの?」
「あーうん、前髪うぜぇなぁってさ。今までショートだったけど、どの道返り血で汚れるから。しゅうちゃんみたくやってみんのも楽しいかなって。」
「佐々木さんにはショートが似合うよ。」
「よく言われる。みっちゃんにも言われた。どの道男にしか見えないだろうってさ。」
下には何もねぇのにな、と呟きながら前髪から手を離す。
「佐々木さんってシャンプー何使ってるの?」
「安い奴。とりあえずワックス落ちりゃいいし。」
クスッと不二は笑って
「意外と気遣ってたんだね。」
「髪の毛はな。寝癖がひでぇから。みっちゃんがたまぁに家来るようになってからは姑よろしく返り血の付いた制服だのシャツだの捨てられまくったぜ。」
「手塚が姑って…そんな事言えるの佐々木さんぐらいだよ。」
「ついでにみっちゃん殴り飛ばせるのもな。」
パン!と飛んできた手塚のシャーペンを素手で叩き落とす遼。
「みっちゃんにダーツなんか教えんじゃなかった。筋良すぎ。」
「佐々木さんダーツ出来るんだ。」
「趣味だな。集中できっから。結構色んなもん投げっ時に役立つ。」
「…何とも言えないね。」
苦笑する不二。
「実益絡むからな。こんな風に。」
ひゅん、と消しゴムを手塚に向けて投げる遼。
「…ナイスショット。」
「上手いだろ。あ、みっちゃんデコ押さえてる。」
「佐々木さんの力を考えたらね…痛いよ絶対。」
「サダも計算したがってたな。色々測定不能って言ってんのに。」
「何の真似だ佐々木。」
ずんずんと眉間に皺を寄せて手塚が近付いてきた。
「先に手を出したのはみっちゃんだぜ?ご丁寧に名前シール貼っ付けたペン投げるとか詰めが甘い。」
「…佐々木さん見えたの?」
「無論。つーか今時ご丁寧に貼るのはみっちゃんくらいだろ。盗難されまくってんのにな。」
「よくご存知で。佐々木さんも不敗だから御利益ありそうって噂だよ。」
「何本かペンやられたな。卒業式で御礼参り決定コースだけどよ。」
「エスカレーター式なのに何で盗むんだろうね。」
「さぁな。みっちゃんとかしゅうちゃんならファンクラブのお嬢さんが怖くて近付けないからとかそんなもんだろ。高嶺の花って奴。人気者は辛いな。」
「佐々木さんはそんなの気にせず殴り飛ばすし。」
「しゅうちゃん、一応俺にもポリシーあんだけど。」
「やられてからやり返す主義だこいつは。」
「銃弾の軌道まで見る俺の動体視力甘く見るなよ。」
不穏なんだか平和なんだかの1ページ。
佐々木さんって何だかんだで手塚と仲良くやってる悪友みたいだな。手塚が佐々木さんの家に行くとか想像し辛いよ。今度行ってみようかな?居る確率低いらしいけど。
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