文句あんのか | ナノ
アンコール
アンコールに沸く、体育館。しかし、跡部の差し金で既に警官2人が愛美を立ち上がらせ、連行していった。それさえも、舞台の演出のようだ。
歓声に応えていた2人は別室に準備されていた部屋に駆け込み、冷たいお茶を飲みながら汗を拭っていた。樺地と宍戸の案内で、立海と青学のメンバーはその部屋に向かう。
「あっちぃぃぃい!おいエアコンもっと強くしろ!!お茶足りねぇぞ!」
「これが学校規定最低温度だ!まだ冷蔵庫にあんだろうが!」
舞台ではノリノリだったが、一気に普段の姿に戻っていた。シャツを動かして涼を求めていたのだが幸村に抱きつかれる。
「久しぶり遼!舞台、最高だったよ!」
「おー、久しぶりユキちゃん。ありがとう暑いからどけ。」
「佐々木さんの演技に、酸欠になるかと思いましたよ。思い切った事をしましたね。」
「ホント、爆笑するだろぃ。またやってくれよ。」
「イヤだ。スポットライトめちゃくちゃ暑いんだぞ?汗だくになるって。」
幸村を退けて、床に座り込んだ遼はげんなりしていた。
青学のメンバーは、夢うつつだ。どこからが本当で、どこからが演技なのか全く解らなかった。氷帝メンバーも反応は様々だ。
「いやー久々に腹ん底から笑た。遼熱演しすぎや。」
「跡部さんの派手好きに付き合うなんて最高すぎるぞ。」
「勢いでやってるだけだろ、遼は。」
「当たりー。けごたんみたく体捻るとか思い付かねえ。」
「なぁ跡部、朝比奈とか言う奴はどうなったんだ?」
「あーん?警察に通報して舞台終了と共に連行されただろうが?演出じゃねぇよ。」
宍戸の疑問に、跡部はさも当たり前のように答えた。関東最強が調べられなかった事実は、変わらない。
「…それだけの為に、氷帝全校生徒集めたのか…。」
「でも俺楽しかったC。」
呆れたように呟く河村に、屈託なく笑う芥川。
どちらにせよ、異常な程豪華で観客は満足していた。跡部と遼の舞台と言うだけで、生徒は集まったのだから。
「…遼、おまん、俺を詐欺にかけたんか?」
「いや?朝比奈愛美ことナァ子については全部、舞台で言ったのはマジだぜ。まーくんたら悪い女に引っかかっちゃって。」
「嘘だろ、嘘に決まってる!」
ひらひらと手を振った遼に、赤也は掴み掛かろうとした。しかし、柳に抑えられる。
「あれは真実だ。俺も佐々木に聞いていた。」
「…誰か、嘘だって証明してくれよ…。」
向日の言葉に、遼サイドのメンバーから否定された。朝比奈愛美の存在そのものが、嘘のようなものである。
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