文句あんのか | ナノ
後は仕上げをご覧じろ


何の不思議も無く、不審者が逮捕された事を宣言した。ただし、二人目の出現を懸念して、出来るだけ女子生徒は独り歩きをしないようにとも。
たった2日の出来事だったが、多くの生徒が安堵していた。

「もしもし、けごたん?…愛してるぞ。」

「ブッ!!何ふざけた事ぬかしやがる遼!」

「大好きじゃ足りない感謝だったからサービス。」

「要らねーよ!…放課後、しくじるなよ。」

「当然。楽しみにしてろよ。」

授業中の屋上で、遼と跡部は通話していた。あの跡部様が、授業をサボる珍事だ。だが、氷帝の生徒は咎めず、榊も静観していた。
遼の華々しい舞台の当日なのだから仕方ない。

「リョマたん、盗み聞きは感心しねぇなぁ?」

「…遼センパイが猿山の大将に変な事言うからッスよ。」

「じゃあペナルティに、放課後氷帝まで付き合え。面白いモン見せてやるよ。」

「ッス。」

屋上の端で、遼の発言を聞いて飛び起きた越前は、遼に逆らえなかった。逆らったら、無理難題を言われそうだったのだから。
不二や大石も、青学メンバーに遼が氷帝でトラブルを計画していると触れ回った。遼に誘われたが、恐ろしくて一人では行けないと。

「んーっ。おっしー元気にしてっかなー。けごたんからかいに氷帝行こう。缶詰めマジめんどくさかった。」

「氷帝…?あ、私もそこの生徒に友達が居るよ。おっしーとけごたんって、誰?」

後一時間授業を受ければ、氷帝での舞台が開幕する。
遼は伸びをしながら、楽しげに独り言を呟いていた。愛美が引っかかる事など、先刻承知だ。

「ん?おっしーは氷帝中等部三年生、けごたんは同じく三年生で生徒会長様。みっちゃんと顔見知りだぜ。一緒に行くか?」

「いいの?」

「もちろ…みっちゃん顔怖い。」

遼が愛美に笑いかけていたが、手塚の眉間の皺に声が弱くなった。幾ら腐れ縁でも、遼は手塚の説教が大嫌いだ。

「トラブルを計画していると乾から聞いたが…?」

「心配ならみっちゃんも来たらいいじゃんか、別に喧嘩売りに行くワケじゃねーよ。ナァ子の友達も興味あるし。」

な、と笑う遼に愛美も頷き、あまりにもとんとん拍子すぎるくらい役者が氷帝に集まった。
尋常では無い程の幸運を、遼は味方につけていたのだろう。

「…なぁしゅうちゃん。俺、しゅうちゃんとタマゴとリョマたんは誘ったんだけど。何で青学メンバー大集合?」

「だって、佐々木さんがトラブル宣言したら確実に大事になるじゃないか。僕1人じゃ怖いよ?」

乾は調べたと言い、大石は怖いが断れないと勢ぞろい。愛美は、ほくそ笑んでいた。


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