文句あんのか | ナノ
総力戦
柳すら躊躇する、レギュラー総員での氷帝訪問。
ウェイトを占めるのは幸村の病気に他ならない。安静第一なのだから。
「生徒間のコミュニケーション、って事で立海を氷帝に招待してみるのはどうかな?」
「タマゴ、ユキちゃん入院中。病人引っ張り出す裏技はねぇ。」
「俺様に任せろ。1日ありゃカタは付く。ちゃんとスタッフ用意して、氷帝の練習見せてやりゃいいだろ。柳、異存は?」
「無いな。たまにはイメトレの素材として氷帝を見学、佐々木からも連絡しておけば、幸村が文句を言う確率3%だ。弦一郎も説得してみせる。」
遼は笑顔で、跡部と手を叩き合った。
遼はカマをかけて氷帝に愛美を連れて行き、暴く。ステージを整えるのは全員が協力する事だ。
その跡部が、とんでもない事を計画しているとは思わない。
「役者は揃った、後は日取りを考えるだけやな。」
「忍足、それ結婚式みてぇだな。確かそうだろ?」
「まぁ、間違ってはいないかな…?」
ジャッカルの言葉に、大石もつい笑顔になる。柳は何も言わないままだ。
「被害拡大してんだから、早いに越した事はねぇんだけど…けごたん、何日かかる?」
「2日。2日くれ。幸村の事と立海招待、それと遼の舞台準備に少なくとも2日はかかる。平日だからな。遼は出来ればメス猫の妨害を頼む。」
「それなら、俺も出来るよ。佐々木さんの協力者を教えてくれたらもっと簡単だ。」
大石の真摯な態度に、負けられないと言う意思がはっきりと受け取れる。だが、遼の手札を見せろと言う事でもあるのだ。
「テニス部なら、しゅうちゃんとサダは鉄板だ。他はゴチャゴチャいるぞ?」
「テニス部だけでも、教えてくれてありがとう。佐々木さんには借りを作ってばかりだ。」
にっこりと清らかな笑顔を浮かべる大石だが、愛美には腸が煮えくり返る思いを抱いている。
遼は続いて、柳を見た。
「レンちゃん、そっちの準備は何日かかる?」
「明日には解決する確率、100%だ。幸村には悪いが、ダシに使わせてもらう。ジャッカルとブン太にも一肌脱いで貰うぞ。」
「ブン太にはメールしとく。佐々木、本気で妨害出来るか?」
「佐々木遼様は出来ねぇ事は言わねえよ。ちょっと貸し作ったトコ使うからな。…詳しく聞きたいか?」
全員が、勢い良く首を横に振る。その気になれば、どんな権力さえも平伏させる遼。
壁に耳あり障子に目あり、と情報収集能力も喧嘩も勝てる学生は極めて珍しい。
「全員、アドレスを俺様に教えろ。決まったら連絡する。」
携帯を片手に、アドレス交換をして解散したのだった。
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