文句あんのか | ナノ
客寄せ


燃え盛るような怒りが、マンションの一室を支配する。この場にいる全員が、愛美を追放したいと一致したのだ。

「みっちゃんが骨無しになろうが知ったこっちゃねぇけど、してやるだとかぬかしたナァ子は始末すんぞ。」

「上から目線大っ嫌いやからな、遼は。今んとこ氷帝、立海、青学やろ?」

華々しく遼によって暴かれ、愛美への幻想を打ち砕くか、遼の幅広いコネを使って、人知れず姿を消させるか。
柳は挙手した。

「俺としては、朝比奈の信用を立海だけでも構わないから失墜させたい。」

「柳、真田と赤也は佐々木嫌いだぞ?」

「俺が頼んだと言うだけだ。佐々木は俺の頼みで調べた、と。」

しかし、遼と愛美の接点は学校である。平日だろうと立海に遊びに行くのはともかく、愛美に怪しまれないようにしなければならないのだ。
遼は跡部を見て訊ねた。薫り高いコーヒーで、跡部は気分を落ち着かせている。

「氷帝は?」

「あーん?遼は監督から信用されてるからな、メス猫は俺が興味を持った事にして呼び出す。」

「スタンドプレーはけごたんの得意技だもんな、演出頼むぜ?」

「スタンドプレーじゃねぇよ!テンション上げてんだ!」

「跡部落ち着かんかい。ま、派手さ言うたら氷帝がピカイチやろうな。いっそ集めて一気に暴くサスペンス劇!なんてどや?」

忍足の花のような笑顔に、ジャッカルかシビアなツッコミを入れてしまった。確かに楽しそうなのだが学生である。

「神奈川から俺ら呼ぶのかよ。金ねぇよ、今日だって電車代無いから走って帰るんだし。」

「ジャッカル、それくらいは貸してやる。流石に遠すぎるぞ。明日は学校だ。」

そっと柳がジャッカルの肩に手を置いてしまう。
苦学生、ジャッカル。金持ち率の高い私学では珍しいものだ。

「跡部、俺達は佐々木さんをかなり信頼してるつもりだけど…そのぐらいしないと、逆に佐々木さんが怪しまれるよな。」

「つもり、だから弱いな。ただ集めるにも名目をどうするかだ。遼から重大発表、でメス猫を呼ぶのはあからさまだ。」

大石の言い分は、尤もだ。よほどセンセーショナルな事でも無い限り、遼はよく疑われる。
今まで誰も気付かなかった事、菊丸が一部のレギュラーの前で暴露してしまった事。
詳しくなければ納得出来ない。遼を疑わない青学レギュラーは不二と大石、そして乾の3人だ。

「そーだな…放課後におっしーに会いに行くってナァ子を引っ掛けて、青学は雪だるま式にゾロゾロ出来るぜ。」

「問題は、立海だ。」

柳も、考え込んでいた。

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