文句あんのか | ナノ
風雲急を告げる


跡部からの情報を結集しても、愛美の素性は全く不明のまま。流石に全員が、顔を顰める大事だ。

「なぁ。…怒らないなら聞きたい事あんだけど、いい?」

「俺は構わない、緊急事態だ。」

「遼やし怒れんわ。」

「佐々木さん、何を…?」

遼は大石に向けて悪戯っぽく笑うと、パソコンを操作した。ノイズの中に、愛美の声が入っている。全員がパソコンを注視していた。おぞましい独り言だ。

「あーん、どうしたら私の精市君落とせるのー?原作通り入院中だろうしー。佐々木さんと手塚部長で精市君に会えるかなぁ。跡部様にも侑士君にも会いたいしー。逆ハー何だから。王子様網羅したいなぁ。」

「…佐々木、ベッド殴っていいか?」

「いいぞジャコ、まだ続く。」

「千葉の六角、不動峰、沖縄も行かなきゃ完成しないわー。」

ぷつりと遼は音声を切った。ジャッカルは怒りをベッドにぶつけ、ひたすら殴っている。
全員、険しい顔になっていた。

「以上、こないだナァ子んちが解ってからプロに頼んでつけてもらった盗聴器からの違法な情報。何で、都内から来たって言い張ったのが、ユキちゃんの入院知ってんだ?原作ってどういう事だ?ってなんだよ。逆ハーは調べたら男女逆転なハーレムの事らしい。」

「…俺様を何だと思ってやがる、朝比奈愛美…!遼、ベッド殴るぞ。」

「佐々木さんには怒らないけど、朝比奈さんには怒りが出て来たな。」

怒りに震える、テニス部の面々。遼は疑問が頭を巡る。菊丸の目に見える困惑、手塚の変化、他テニス部員限定に起きている事。
そして会ったのにも関わらず、変化の無いメンバーがいる。

「佐々木、他には?」

「コレからは他日常生活。今んとこ変なのはコレだけ。レンちゃん、立海に朝比奈愛美って三年生にいたか?」

「居ない。転校はすぐに名前が噂になる。」

「ホンマ、原作って何や?」

首を傾げる柳と忍足。遼も首を捻って考え込んでいる。

「聖ルドルフの奴が、テニスの流れの事をシナリオって言うけどな。」

「遼、今すぐこのメス猫を関われない状況に落としたい。当然報酬は払う。」

「佐々木!マジで頼む!朝比奈とか言う奴は、俺らをアクセサリーか何かと一緒にしてるじゃねぇか!!」

ジャッカルの悲鳴に、テニス部の面々は同調した。遼の一言で、愛美は追放される。だからこそ、遼は慎重になるのだ。
携帯のメールを見て、遼は拳を床に向けた。

「俺が男だったら、騎士にしてやるだと…?オイ、てめぇら。派手にやるか裏でカタ付けるか、決めようぜ。」

遼の逆鱗に、愛美は触れてしまっていた。誰のものにもならぬ、関東最強を。

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