文句あんのか | ナノ
また増えた
跡部の調査待ち、とのんびりコーヒーを飲んでいた4人だが。階段を凄まじい音で駆ける男の声に動きを止めた。
「…けごたんがエレベーター使わねえってねぇよな。」
「あらへんな。誰やろ。」
インターフォンに遼が出ると、汗だくの上に泣きそうな顔の大石が居た。息も荒く、全力疾走した事がよく解る。
「佐々木、さんっ…手塚が、手塚が!」
「…とりあえず客いっぱいいるけど上がれ。水飲むか?」
「あ、ありがとう。」
遼が勧めるまま、部屋に入るとジャッカルが頭を抱えた。柳も深々と溜め息を吐く。忍足も流石に呆れてしまった。
遼に冷たい水を渡され、一気飲みすると大声を上げた。
「佐々木さん!手塚を止めてくれっ!」
「…何があったんだよ。」
「手塚が、手塚から朝比奈さんをマネージャーにしないかって相談して来たんだ…!」
「いんじゃね?」
「佐々木、余りにも他人事すぎるぞ。」
首を傾げた遼に、土下座をしかねない勢いの大石。柳が窘めるも実際他人事だ。
「まぁ他人事だけど、佐々木。朝比奈の被害状況ヤバいの解ってるか?」
「だから気合いとかで何とか。みっちゃんマネージャーは絶対取らねえって言ってたけど。」
「ならへんから大石が頼みに来とるんやろ。」
「いやそこんとこ俺関係」
「無いとは言わせないぞ、佐々木。」
柳に先を越され、遼は首を竦めて黙った。
ただの探偵ごっこがよくもまたここまで大きくなったものだ、と遼は内心拍手したいぐらいだ。
「…何で氷帝に立海が佐々木さんの家にいるんだ?」
「朝比奈関係やねん、ウチの部員もおかしゅうなって。部活混乱してまうわ。」
忍足に頷くジャッカルと柳。
大石はそのまま崩れ落ちてしまいそうだ。どんな転入生だ、と誰もが思う事を胸にしまって。
「何かすっげえ深刻になってねぇか?マジでナァ子何者?」
「それが解らないからこうして佐々木に聞いていた。思いの外とんでもない事態だな。」
「跡部、早よ来んかなぁ…。遼の縄張りぐちゃぐちゃになりそうやないか。」
「てか、朝比奈って何がしたいんだろうな。テニス部ばっかり骨抜きだろ?」
「テニス部ばっかり…なのか?」
「俺が調べた感じな。クラスで頼んだんだぞ、俺の悪名全力で言いふらせって。都内の中学から転入したって聞いたのに知らないって言ってたから。」
遼の言葉に、全員が息を呑んだ。遼の名前を知らない中学生など、この関東に居ないと思っていたからだ。
「遼、俺様だ。」
「開いてっから上がれ。」
彼らは、部活を静かに行い勝ちたいだけなのだ。
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