文句あんのか | ナノ
相談所じゃない
休日。学生の安息日でもあるので遼はのんびりと自宅で愛美のデータを纏めていた。
保護者の名は架空のもので、家賃の出所や学費も解らない有り様。何らかの攻撃があれば、すぐさま通報すればいい状態だ。遼のあだ名は、喧嘩のみからではない。
「遼ー!いきなりスマン!鳳と岳人がおかしゅうなったー!」
「おかしいのはテメェだろ。コーヒー淹れてあっから落ち着けおっしー。」
そんな休日に、汗だくの忍足がやって来た。アイスコーヒーを一気に飲み干し、一息吐くと頭を抱えて話し始めたのだ。
「昨日な、駅で迷子になっとった女の子を鳳と岳人が案内したんやて。」
「土曜日か。そりゃダンジョン駅あるから迷子も出るな。」
「そっから2人して恋患いや…遼やったら知っとるかなて。朝比奈愛美って青学の…どないしたん遼?」
「あいつは魔性の女か何かか。俺のクラスメートで素性が全然洗えねぇんだよ。」
「…被害者居るんか。」
「菊猫。カオリンも怪しいってサダから聞いた。」
「何やただの男好きかいな。」
カーペットに倒れて呟く遼に、忍足も脱力した。ただ、遼の恐るべきコネクションを使っても尚解らない事実。
「遼、携帯鳴ってんで。」
「嫌な予感しかしねぇよ…。」
遼が電話に出た途端、叫び声で耳が痛くなった。
「佐々木ー!!ヤバい仁王と赤也がヤバいー!」
「俺もジャコの声で耳がヤバいっつーの!!今すぐ俺んち来い!飯食わせてやっから!!」
「今駅!!後でな!」
電話を切ると、次はメール。幸村からジャッカルと同じような話題だ。
忍足も遼も、突っ伏したくなっていた。恐らく、変わらない。そして転入したばかりの愛美の異常な行動力に、呆れたくなっている。環境が変わったばかりなのに何故出歩く。
遼の考えは忍足にも解った。
「…おっしー晩飯食う?あるもんで適当だけど。」
「うん…おおきに…。何やねん朝比奈愛美て…全力で男漁りしとるやないか…。」
「けごたんやられる前に頼んどこ?な?」
「あ、跡部忘れとった。遼からやないと動かんで。」
「だよなー…。どんだけ俺超人扱いされてんだよ。」
のそのそと起き上がり、冷蔵庫の中身を確認する短パンキャミソールの遼。忍足は、パソコンの画面を気にしていた。
「パソコン見てもえぇ?」
「朝比奈愛美のデータだからそこだけなら。」
携帯で跡部に連絡しながら、本日三人分のメニューを考え始める遼とパソコンに釘付けの忍足。
暫くして、ジャッカルが氷帝と青学の被害を聞いてうなだれる姿があった。
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