文句あんのか | ナノ
見失いそう
翌日、不二のリクエストでエビチリをふんだんに入れた弁当を持ってきた遼。無論、自分の弁当でもあるが。
悠々と登校し、のんびりと授業を受ける遼は機嫌が良かった。
「しゅうちゃーん、弁当の配達でーっす。」
「ありがとう。エビチリ楽しみだったんだ。」
不二も嬉しそうに弁当を受け取り昼食を一緒にと誘う。断る理由も無い遼は、快諾し屋上へと歩き出した。
「佐々木ちゃん、俺もいい?」
「あ?うん。どーした菊猫、元気ねぇな。」
「俺、変なんだ…。不二も聞いてくれる?」
「うん、いいよ。」
菊丸、不二、河村、桃城、越前のメンバーで屋上に座り込む。何となく、円を作っているのはいつもの事だ。
「わ、やっぱり佐々木さんのエビチリは美味しい。」
「約束したじゃんか、気合い入れて作ったんだよ。」
「遼先輩俺も一口!」
「俺にもくれるよね?」
長閑で、穏やかな昼休み。
遼の弁当は体に比例して大きく、分け合っていても満足なボリュームだ。菊丸も笑顔で、遼や越前に話し掛けている。
「佐々木さん、コレ俺の作ったかんぴょうなんだけど、味はどうかな?」
「俺かわむーのかんぴょう好き。タマにしか食えねぇし。」
「ありがとう、また店に食べに来てね。」
「てかさ、遼センパイと部長のクラスに可愛い転入生って聞いたんすけど、どうなんすか?」
「あー…アレ、俺もまだ調べ切れてねぇんだよな。」
遼が頭を掻きながら、桃城から貰ったデザート代わりのメロンパンに噛みつく。
それに、菊丸は大きく目を見開いた。遼が、調べきれていない。
「遼先輩が…?」
「俺の事アッサリ当てたのに?」
「うん、今検証作業中。菊猫、どした?」
頷いた遼に、俯いた菊丸。
桃城と越前は驚きを隠せない。不二は昨日の一件で、多少の成果があった事を知っている。河村は、菊丸を心配そうに見ていた。
「…テニスに、身が入らなくなってきたんだ、俺…。朝比奈さんの事ばっかり考えて、授業もボーっとしてたし。」
「ヤバくないか?みっちゃんに雷落とされんぞ。」
「今朝ランニング増やされてたっすよ。ねー英二センパイ。」
「だから、変なんだ…。大石にも心配されたし、俺今年は優勝したいから頑張ってたのに。」
「ナァ子が好きならコクってスッキリしたら?」
「っふ…あはは、佐々木さんそれ直球すぎだよ。」
「遼先輩、男心解って下さいよー。」
「わかんねえよ、俺女だし。」
じゃれ合うように、桃城と話す遼と苦笑する不二に河村。
だが、調べ上げて満足した遼をまた巻き込んで話は広がるのだ。
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