文句あんのか | ナノ
私立校でも先立つものが
地球温暖化。新学期に入り気紛れに学校へやって来た遼は暑さにへばっていた。
「あぢー…制服脱ぎてぇ。何でんなデザインにしてんだよ変えさせんぞ。」
「佐々木…。頼むから止めてくれ。女だろう。」
「このクソ暑い中きっちり制服着てる生徒会長様が異常だ。」
「…今回ばかりは否定出来ないな。」
バサバサと下敷きで扇ぐワイシャツ全開の男子。汗を拭う女子。冷房を止められて、暑くて仕方がない。
「地球温暖化より生徒の集中力上げさせろよサナゲンみたいに。同類だろ。」
「一緒くたにするな。俺は殴らない。」
「グラウンド走らせんの好きなクセに。M寄りのSだよな。」
「何なんだその略語は。」
「みっちゃん…自分の腕を犠牲にした事あんじゃん。どこがMじゃねぇって?基本スポーツやる奴はM要素あるもんだぜー?」
「聞かせてもらえるか。」
「タイムリミットまでな。超ド級の真面目を絵に描いたみっちゃんはサボらないだろ?」
「確認する事でも無いだろう。」
ククッと遼は笑い、手塚は滲んだ汗を拭った。
「1。色々我慢すんだろ。やりたい事とか試したい事とか。心理戦が混じると特にありがち。シナリオがあるワケじゃねぇし。」
「そうだな。」
「2。チームだとかコンビとかで庇い合う。じこぎせーって奴。俺にはわかんねえな。」
「佐々木は単独を好むからな。」
「3。自分イジメんの好きだよな。トレーニングとか言って。努力家タイプにありがち。」
「勝つ為だ。」
「最後。勝手に限界決めるよな。まだ勝てないとか言い訳して。俺みたいに自販機ブン投げんの無理とかさやってみなきゃわかんねえのに諦める。」
「例は極端だが、解らない事も無い。」
「以上。佐々木遼的スポーツマンのM加減。俺も腹筋だけは鍛えたけど身長伸びたし。意外と報われねぇ気がすんぞ。」
「お前は大きすぎだ。」
「俺に文句言うなよ。昔っからでかかったんだからよ。好きで伸びたら世の中高身長だらけだろ。」
「スポーツでは身長が大きな武器になるからな。」
「スポーツじゃ、な。それ以外目立つんだよ。俺が男でも言われただろうけどな。でかすぎって。」
「中学生離れはしているな。見た目は。」
「社会人にガチで見間違われたみっちゃんに言われたくねぇ。」
「上着が無ければいつも間違われる。」
「サナゲンよりは救われてるよな。あっちブレザーでモロにスーツだし。」
「佐々木も男子の制服を着たら同じだろう。」
「残念無念また来週〜。俺が着れる男子の制服貴重だしこのガッコで一番背が高いの俺。」
「そうだな。細身でもある上に長身は珍しい。」
「だろ?次数学だっけ?」
「あぁ。」
「サンキュ。」
そうして授業を受ける。遼は何となく、で解いてしまうタイプだ。
気分屋の菊丸や曲者の桃城以上に、佐々木は気紛れで掴み所が無い。通り雨のようだ。水溜まりのように疑問を残して去って行く。時に激しく、時に冷たく、時に優しい。性格をカテゴライズ出来ない。義理堅いようで約束はしない。…佐々木は何年かかっても解らないだろう。字が汚いぐらいしかまだ解らない。
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