文句あんのか | ナノ
謎の張本人が挑む
うーん、と遼は珍しく悩んでいた。
「どうした?珍しく眉間に皺を寄せて。」
「いや、俺って道端にあるもんなら大概投げたけどジェット機とか電車とか投げれんのかなーって。…何頭抱えてんだみっちゃん。」
「人間味の無い悩みにしか聞こえない。」
「人類の限界つーか俺の筋力の限界が謎なんだよ。」
青学七不思議の一つ、佐々木遼は何まで投げられるのかと言われる。
「公衆電話も投げたしトン単位で投げられそうなんだよなぁ…。」
「相撲部の部長を片腕で投げる豪腕で男なら野球部に是非と言われたな。」
「残念ながら女だけどな。多分プロ野球選手目指せたぜ。」
「ドラフトの星だろうな。佐々木のようなデタラメ人間は2人と居ない。」
「みっちゃんもデタラメじゃねぇか。いくら何でも打球を読んで自分のとこに戻すとか人間技か?」
「あれは練習の成果だ。」
「超地道な練習であんなもんやられたら世のテニス少年がラケット放り出すだろうが。」
「佐々木は天賦の才と言うか人間離れしている。」
「んな事言われてもなぁ…やれんならやりたくなるだろ。けごたんに掛け合って試すか?」
「止めてくれ。ジェット機を投げる女など見たくもない。」
「青学の皆さん寛大だよなぁ。俺だったら逃げまくるぞ俺みたいな馬鹿力。」
「袖振り合うも多少の縁と言うだろう。」
「無い袖は振れないって言わねえ?」
「意味が違う。辞書なら貸してやる。」
「いやー俺賢くなったなぁ。みっちゃん相手に揚げ足取るとか。」
「懇切丁寧に教えたのは誰だと思っている。」
「かっちゃんとサナゲンの爺ちゃんとみっちゃん。国語の成績上がった。」
「それで英語の成績が落ちてプラマイゼロだったな。リスニングは出来てリーディングができない。」
「俺は日本生まれの日本育ちだから日本語解っときゃ生きていける!」
「それすら怪しかったお前が言うか。」
「日本語は乱れるもんだぜみっちゃん。」
ちっちっち、と指を振る遼に手塚は眉間に皺を寄せ
「これ以上に無く口汚い事を誤魔化すな。」
「じゃあ敬語の俺に拒否反応出さない自信あんの?」
首を傾げた遼に手塚は目を逸らした。
「ほれ見ろ。」
「…初々しさの欠片も無い新入生だったからな。」
「単に周りがチビなんだよ。」
「…お前が大きすぎたんだ。」
「お?過去形?」
「現在進行形だ。」
「でもみっちゃんまだちっちぇえからな…。」
「まだ伸びている。」
中学校二年生、多感な年頃なのに何故かこの2人はどこか空気が違いすぎた。
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