文句あんのか | ナノ
天井裏はホラー定番
抜け出せた。有難う桂って兄ちゃん。派手にテロやらかしたらしい。
「さて。どうすっかな。一回帰るか。」
ベトベターから買った花ダメになっただろうな。一週間以上家から離れた事ねぇから分かんねえけど。雑踏のざわめきも何だか懐かしくなるな。昼間やかましいのは大概池袋あたりなんだけど、真っ昼間から日常的にテロ騒ぎなんてあっちじゃ考えらんねえって。かぶき町トラブル起きまくりだな。
「だから俺に似合うのか。荒事専門だし。」
着信アリ。…言ってみたかっただけだから。
「お掛けになった電話番号は喧嘩専門となっております。所在地を明らかにして首洗って待っとけ。」
「黒駒の勝夫や。溝鼠の。知っとるやろ?佐々木遼はん。」
「お礼参りは3月限定受付にしてんぞ。」
「つれへんなぁ、そないな事やったら女もでけへんで?」
…また、やっちまった。携帯何回握り潰せばいいんだ俺。明らかにあっちの方が札持ってるし、やりにくさは解ってんだけど。次課長…もとい次郎長のコネが謎すぎる。奴らは知ってそうなんだけどなぁ、俺が女なの。まぁ、あんま使わねえし、無くても困らねえ携帯だ。捨てるか。また変なのから電話掛かってきたらイヤだし。一応善良な市民になっておきたかったけど、俺は結局血生臭くて汚いとこの住人だ。
「ゲホッ。ホコリすげぇな。」
我が家ながら凄まじい。マンション完成はまだ時間かかるし。夏用の和服買わなきゃいけねぇな。目立つのはともかく、貧相でも胸見せる趣味ねぇし。…誰か入ってやがる。何もねぇよ。あっちは機密満載パソコンあったけど。
「なぁに探したんだか。あっちに帰るモンがありゃとっくに使ってらぁ。」
窓やら開けて、久々のお気に入りコーヒーを味わう。落ち着く。根無し草だからこそ、安心して帰る場所が欲しいんだよ。オヤジがアメリカ行って以来、動きやすくなったから探し回ってこのザマだ。
「なんか見つかったか?天井裏の人。」
「お前、何者だ。」
「佐々木遼、青春学園中等部三年。別名関東最強。兄ちゃんは?」
「服部全蔵。兄ちゃんジャンプ一冊も持ってねぇのかよ!」
「俺は歴とした女だ!つーか人んちでジャンプ探したのかよ!」
珍しく俺がシリアスな話してたのに!もしかしなくてもタンス漁っただろ!下着見ただろ!?
「少年にはジャンプが必要だろうが!」
「俺は一昔前の方が好きだった!」
ティータイムがジャンプ話って。なんなんだこの兄ちゃん。何しに来たんだ。
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