文句あんのか | ナノ
センチメンタル中学生


何の脈絡も無く、いきなり宴会。お前ら仕事する気ねーだろ。給料泥棒と税金の無駄遣いで訴えられそう。しかもビールで羽目外せるか!酔えるかこんな気の抜けそうな炭酸水!そして思春期の女の子になんてモン見せる気だ。結局、1人で月見酒。さり気なく冷酒確保。乾杯はビールだったけどやっぱ炭酸水。

「1センチでも身長が伸びませんようにっ!」

月に掲げて呷った。辛口。酒の肴は久々に作った。後は漬け物。静かに楽しんでるなんて思うなよ!?障子の向こうは野郎の群れ、俺じゃなくても聞きたくないトラウマもんの放送禁止用語連発してんだ!ちなみに廊下で飲んでる。現実からはどう足掻いても逃げられねえのさ。

「遼、なんでテメェだけで飲んでんだ。」

「俺は上品に育ったもんでな、聞きたくない言葉聞かされるぐれぇなら1人で飲むぞ。」

素人って下戸?しかも悪質な事に絡み酒?ぶっちゃけトークに持ってかれて、洗いざらい話したくねぇからこうしてんだけど。

「酒はつえぇのか。」

「底無しらしい。って何ナチュラルに人の肴摘んでんだよ。」

「作ったのか?旨いな。」

素人酔っ払って会話になってねーよ。まぁいい、材料はまだあったし足りなきゃ作ればいいだけだ。ネオンの星が煌めく江戸に、下弦の月。タマゴが嘆きそうな空だな。星座の名前なんて星占いとテスト対策しか覚えてねえけど。

「…いつまでここに居なきゃいけねぇ。俺はカゴの鳥にはなんねぇぞ。」

「さてな…近藤さん次第だ。遼、こっち向け。」

いや向いてもしょうがねぇだろ酔っ払い。背中合わせで座ってんだから。体重かけやがって。

「無茶言うな。重いんだよテメェ。」

少なくとも俺よりは軽いだろうな。目線と体つき考えりゃ。

「お前、女らしさって知らねえのか。」

「俺にんなモン求めんな。つか服がヤニ臭くなっから吸うな。」

あっくんすら俺んちでは吸わねえ。殴り飛ばすから。後は居ねえ。タメ前後しか上がらねえんだ俺んち。そもそも俺がいる事も少ないからな。

「振り袖のお前は綺麗だったけどな。」

「美化しすぎだ。」

見た目美人なら都内にゴロゴロ転がってんぞ。中身は怖いのが多いらしい。男の話だから信じにくいけど、女は執念深い。俺も結構根に持つし。だからあながちハズレでもない、と。

「…確かに惚れた女は美化しちまうな。」

「思い出なんてそんなもんだろ。」

それが譬え、見た事も無い母親でも。自分に面影を探すのが性。

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