文句あんのか | ナノ
トラブルを拡大する


手塚=遼のストッパーと概念が根付いたのは二年生の時である。既に悪名高く、トラブルの際には大概遼が関わっていると認識されている。

「クックック…テメェ今殺す気で胸狙ったな?俺もそうさせてもらうぜ。」

「手塚せんばぁぁぁぁい!佐々木先輩のスイッチ入りましたぁぁぁ!」

とまぁ古典的な救急車の呼び方のボケのように手塚は毎回呼ばれる。…大概手遅れになっているが。

「佐々木!」

「どーしたみっちゃん。」

返り血を浴びて所々赤黒くなった制服で遼は首を傾げる。その彼方には前歯や鼻を折られた哀れな男子生徒が転がっている。

「…何があった。」

「えーっと、単に三年三組21番深山京助先輩が最強は俺だとかぬかして彫刻刀胸に刺そうとした。んで勿論そんな真似されたら俺もあの世行きそうだから反撃した結果こうなった。因みに二撃。腹に膝一発と面に左手。」

暗に、目の前でリバースされそうだったからぶっ飛ばしたと遼は言っている。

「…相手を間違ったとしか言えないな。」

「だよな。俺より成績良くてもバカっているもんだなぁ。世界広い。」

唯一遼の凶行を止めた手塚は…恥を偲んで遼に抱き付いた命知らずな偉業を成し遂げた勇者である。凶悪な笑顔が怖く無かったと言えば嘘だが、間合いさえ詰めてしまえばと考えた。…その後ジャーマンスープレックスをされていたが、被害は手塚のみだった。

「今回は誰も投げなかったのか。」

「逃げなきゃ投げねぇよ。」

普通はこんな歩く核弾頭を避けるものだ。テニス部では遼のスイッチが入った事をICBM(大陸間弾道ミサイル)発射と呼んでいる。乾が名付けた。

「あーぁ、また制服に血が付いちまった。」

「顔を狙うからだ。」

「異臭のする制服と血の付いた制服どっちがマシだよ?」

「…それもそうだな。」

青春学園裏校則。
1.佐々木遼さんに挑む際には相応の覚悟をしましょう。
2.目撃した生徒は速やかにテニス部の手塚君へ伝達しましょう。
―手塚君が不在の際は乾君の計算上100%入院します。
手塚の心休まる時間はごく限られている。

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