文句あんのか | ナノ
そちらの方には禁句


グダグダと立ち話してたらロン毛兄ちゃんもといヅラ?がサギ巻き込んで逃げて素人が追っかけてった。

「誰か相関図と名簿くれ。さっぱり分からねえ。」

「見ない面だな。かぶき町に引っ越したのか?」

顔を見ればそちらの道と一目でわかるお姉さん。下駄履いた俺と目線変わらないって貴重だな。ただヒゲが全てを台無しにしてる。

「あぁ。つい最近。お姉さんは長く住んでるのか?だったらちょっと」

「アンタ見込みがあるわ!私をお姉さんなんて呼んでくれる貴重な人材じゃない!」

そりゃそーだろ。そんなゴツい上にメイクで隠せないヒゲとか化け物呼ばわりされるって。そして禁句なんだ。裏じゃ常識だ。ヘタな女より綺麗なのもいるし、情け容赦しないんだぞその業界。

「お姉さんとは初対面だけどそっちの人に習ったからな。残念ながら俺は女に生まれたからバイトも無理なんだけど。」

「ほう?詳しいのか。確かに首は細っこいな。」

「ツラとデカさで間違われがちだけどな。俺は佐々木遼ってんだけどお姉さんは?」

「かぶき町四天王、マドマーゼル西郷よ。」

四天王?天王洲アイルなら知ってんだけど。真面目に相関図と名簿くれ。叩き込むから3日で。

「マドマーゼル西郷…長いしお姉さんって呼んでいいか?14のガキには四天王とか分かんねえから教えて欲しい事があんだ。」

「好きに呼びな。遼、アンタいい女じゃない。」

眼科行け。今すぐに。マドマーゼルってフランス語チックなんだけど誰が名付けてんだよ。

「お姉さんは褒め上手なんだな。かぶき町四天王ってどんなメンツ?生きてくなら必須っぽいな。」

お姉さんは気前がいい、漢って字がよく似合う。家庭の事情は聞いてねえんだけど、聞かされた。総合するとメチャクチャな町だ。近藤君より詳しいって事は結構な情報通か。博打とヤクザと…マジにとことんアンダーグラウンドな四天王だなオイ。

「ルールはこんなもんよ。14じゃ酒も飲ませられないからね、もう少し年取ったらいつでも店にいらっしゃい。」

「ありがとな。助かったよお姉さん。」

周りの視線が痛いけど!電柱振り回す俺とお姉さんだし。これは無理だな。地道に職探しか。年と性別は誤魔化せるし…常識が微妙に違うのが生かせる。切腹とか生まれる前の話だって。サナゲンやりそうだけど奴は生まれる時代を間違ったんだ。俺が性別間違ったみたいなモンだ。トラブル吸引機にならなきゃいいんだけど。

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