文句あんのか | ナノ
見慣れぬ街の人々


道行く人は全員ちっこい。まぁそりゃいつもの事なんだけど。…なんか尾けられてんな。188センチのミニスカセーラー服がどれだけ悲しいと思ってんだドチクショウ。周り和服ばっかなんだぞ。

「アンタ、何か用事か?」

「…何者だテメェ。」

「やれやれ、小学生以下だな。俺は佐々木遼。善良な一般人だ。」

だってまだ何もやってないし。中学生って身分無いみたいだし。無害な女子中学生って通じなかったんだよな。何もしなきゃ手出ししねぇのに。

「真撰組副長、土方だ。」

「新撰組ぃ?いやそれ幕末に影響受けすぎだろ兄ちゃん成人してそうだし現実逃避恥ずかしいぞ。」

しかもコスプレしてないし…刀?銃刀法違反じゃないんですかここ。遼君やってける自信無くなってきたんですけどサナゲンだったら喜ば…ないな。

「幕末たぁ何だ?現実逃避してんのはテメェだろうが空からバカでかい野郎が降ってきたって通報があったんだよ。」

制服でもアウトなのかこっち。サナゲンが増えたとポジティブに考え…たくないな。あんなの1人で充分楽しいし。

「通報ねぇ。俺無傷だし修繕費ちゃんと払ったから裁判にはなんねえよ。」

「それと、何故気付いた?一般人、とは思えねえ。なんかあんだろ。」

「なんかって…信じないのに秘蔵ウィスキー一本賭けていい。」

だって俺も信じたくない。新撰組とか大人が真顔で言ったら痛いって。とりあえず銀行行ってみて、電車調べてそっから考えなきゃいけねぇし。

「どういう事か、屯所でじっくり聞かせてもらおうか。」

屯所って何みっちゃん?!いやサナゲェェェン!サナゲンそっち詳しかったよな無駄に!

「出来んのか?」

「こうするさ!」

鞘から刀って本物じゃん!サナゲンちのとそっくりなんだぜ!とりあえずガードレール引っこ抜いて防御。あんなもんでバッサリやられたら死ぬぞ普通!

「大した馬鹿力だ。」

「いや、うん、兄ちゃん話し合いって知ってるか?脅迫でもいいけど。」

空いた手で手頃な誰かバズーカしといて、ダッシュ。…指名手配的な事されない事を祈る。これでも俺みっちゃんより足速いから。

「待ちやがれぇぇ!!」

「うん。」

…典型的なボケ。ほーら通り過ぎた。いやすぐ見つかるんだけどね?やってみたかっただけだから。と言うか…ここの人ノリがいいなぁ。おっしーみたいな関西っぽいノリ。偏見はバリバリある。さて、兄ちゃんをやり過ごしたはいいんだが地図が無いから困るな。

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