文句あんのか | ナノ
近づかないで下さい
テスト期間だろうが、何だろうが静雄は突然やって来る。大概、学校か自宅なのだが。挨拶が物騒な時もある。
「皆さーん逃げ」
ガゴンッ!と遼目掛けて金属製の校門が投げられた。遼は普通にしゃがみスルーしているが、後ろにいた不幸な生徒が思い切り直撃を食らう。
「遼くーん?バカに情報売りやがったって聞いたんだけどよぉ、ちょっとツラ貸せや。」
「…ゴメンへーちゃん、どのバカ?」
悲しいかな188センチ。嫌でも目立つ上にセーラー服、状況は最悪だ。
「新羅だ。」
「あ、朝鮮半島の国。今日テストに出た。」
「話はぐらかすんじゃねぇよ。」
ゆっくり近付いて来る静雄は、凄まじい恐怖を生徒達に与えている。遼は涼しい顔だ。
睨み合うと、誰も近付けない。ある意味絶対領域だ。
「シーラに、へーちゃんは弟がいてって話売っただけだって。いや、今月お小遣い残り少ないから等価交換的な。」
「プライバシー保護って知ってるかテメェ。マンガ買って影響受けてんじゃねぇか。」
「それさ、ざっくんに言ってやれよ。俺は未成年、ざっくんいい年こいた兄ちゃんなんだから。な?健全な青少年がマンガ買って影響されたらいけない法律無いだろ。」
新羅の手当てもタダではないし、マンガ代では到底足りない。現物支給で手を打ったのだ。
「つーかへーちゃん、サツ来るぞ?俺がらみの事でも被害者善良な青学の生徒その1。」
「知るかぁぁぁ!テメェが避けたのが悪いだろ!」
そして静雄と遼は互いに血塗れの喧嘩を勃発させた。賢い…と言うか慣れた手塚は生徒達を早々に避難させている。
果てしなくハイレベルな喧嘩だが、口喧嘩は小学生レベル。遼は中学生だが、静雄は10歳近く年上の男。そんな光景すらも、見慣れてしまう。
「丈夫すぎんだよへーちゃん!何で出来てんだ超合金Zか!?」
「そのセリフそっくりそのまま返してやらぁぁ!」
吹っ飛んでは吹っ飛ばす、物凄く不毛な事だが派手でなくとも、喧嘩とは大概不毛なものである。
「のうしんとー?で俺の勝ちっ!ごめんみっちゃん、肩貸して。右足やられた。判るか?」
涙目の遼が手塚を見下ろしたが、血塗れ。あまりロマンは無い。
「平和島さんは?」
「あんだけベコボコ殴り合ってんのに、起きたらピンピンしてっからほっとけ。痛いから普通に。」
ヒビを入れられ、真面目に痛そうな遼。手塚の肩を借りて、病院に無理矢理連れて行かれた。
流石の核弾頭も、足を痛めては逃げられないのだ。数日後、普通に歩き回っていたが。
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