文句あんのか | ナノ
Ti amo…
とんでもない数の気配に飛び起き、ザンザスの部屋に寝間着のまま駆け込んだ遼は口早に報告した。
「サノ、いる奴ら全員起きてんのか?」
「なわけねーだろ時間考えろカス!叩き起こす。指揮は任せる。」
「ハイハイ。人海戦術でヴァリアー本部に奇襲とか片付け考えろよな…。あー眠い。」
ザンザスの怒声により、スクアーロ、レヴィ、ルッスが控えていた。
「数える気にもなんねぇ数だからな、下手したら包囲される。タンタンは北だ。天気悪くて良かったな?ルッスは西。一番層が薄い。バカは東。増援も考慮すっと俺は待機だな。以上、迅速に。サノ代理だからな?文句は後で幾らでも聞いてやる。」
「了解。」
無線を使い、部下の配置や敵の手段を図る。人海戦術とは言え、遼にしてみれば多い。一気に壊滅させるのは無理だ。
「遼ちゃん!西は終わったけど何か掴めた?」
「南ががら空きだから、ルッスは南。タンタンはどうだ?」
「後五分だ!」
「…妙だな。バカは?」
「今終わったぞぉ!!」
「バカは待機。タンタンは終わり次第東。西に俺が行くから、各自殲滅と警戒。東は判らなくなるからな、覚悟しろ。」
「了解。」
妙だ、と判断した通りに南と西から精鋭がやって来たが、西は相手が悪すぎた。弾丸を弾き返すベーゴマが飛び交う。無くなれば石ころや、敵の配下が投げつけられる悪夢。
「西終了。南は?」
「数が多いわ!まだ判らない!」
「東は?」
「異常無し。部下に物見をさせたが何もない。」
「バカ南に行け。」
殲滅終了には、二時間もかからなかった。ヴァリアークォリティならではの、悪魔の所行。
「お疲れ。さぁ存分に文句をたれるがいい。」
「遼、怪我は?」
「掠り傷も無し。タンタンが拷問は得意だよな?一匹生かしてぶち込んだから聞き出してくれ。」
「任せろ。ボスの為ならばな。」
「遼ちゃん、アタシ寝るわ〜。美容の大敵だもの。お休み。」
レヴィとルッスは思い思いの場所へ向かった。
「さて、と。風呂入り直して徹夜だな。バカ、何服掴んでんだ?」
コートの下はパジャマ。際どくはない。
「…遼、愛してる。」
「は?」
「遼から、絶対言わせてやるからなぁ!!覚悟しろよぉ!」
実は一度も言っていない遼だった。バイオレンスな意地っ張り夫婦は、一生痴話喧嘩を繰り返すのかもしれない。これにて、関東最強と謳われた少女の話は語らずとも…いつもと変わらないバカ騒ぎを続けるだけになる。
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