文句あんのか | ナノ
何もかもを捧げたい


スクアーロにしては切ないが、遼にしては有り難い待遇のボンゴレ本部の気配りは、厄介事増やさないで下さいと言っているようなものだった。別部屋。

「えー全員下戸なのかよ飲み比べしようぜー?」

「佐々木昔から飲んでただろ…。料理目的とは名ばかりに丸々一本ワイン空けてフツーにしてたんだから推して知るべし!」

白ワイン大さじ2杯、残りは全て遼の腹の中。太らないのがまったくもって不思議だが、日頃の運動と言う名の喧嘩をしていれば無理ではない。獄寺がキッパリ言い切ってしまった。

「チッ。日本ならではの酒の楽しみ方やりたかったのに。」

「…遼さん、それはもしかしなくても一晩中飲み続けるつもりでは…?」

そんなウワバミと酒が飲めるか!?と思いつつ否定して欲しい願いも込めて骸が尋ねる。

「いや4時ぐらいまで。流石に寝ないと持たねえから俺。チェーザレほっといていいなら一晩中飲み明かしてもいいけどな。」

「無理です。」

悪い予感程よく当たる。そこそこ飲めるメンツがしらを切ったのは、そういう理由だった。酔った勢いで肩を叩かれたら、目も当てられない惨劇だ。

「へーへー解りましたよ。七割片付いたんだよな?マグロ。」

「はい。今現在問題は無いみたいですが、解らないところはお聞きするかもしれません。」

「プログラムについてはサッパリだからな。」

最終確認をして、遼は早々に本部に滞在中の幹部達が集まる部屋から出た。

「さて、風呂に入れてさっさと寝るかな。やる事ねぇし。」

ハーフのチェーザレは、日本人の要領で育てられている。遼と湯船に浸かり、1から10まで数える。自分の名前を舌っ足らずながら言おうとする、基本会話は日本語。食事は凄まじく適当だが、無茶苦茶なメニューなのだから不可抗力だと遼は考えている。

「俺に似たら間違い無くデカくなるよな…どの道デカいか。」

風呂から上がり、早くもうとうとしているチェーザレを寝かしつけた遼は、指輪をぼんやりと眺めていた。次に外すのはいつになるのかなど、取り留めのない考え。

「ラテン系のノリはやっぱわかんねえな。」

スクアーロが指輪を填めないのは義手だから。肌身離さず持っていながら浮気をして、外したがまた遼の手に填められた。

「どうかしたのか?用事が出来たか?」

ノック無しにスクアーロが入ってきて、ベッドに近付くと遼が眺めていた手を取る。

「家族サービスぐらいさせてくれぇ。」

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