文句あんのか | ナノ
お父さんと呼ばれたい
すくすくと育つチェーザレだが、スクアーロは色んな意味で悲しさを覚えずにはいられなかった。
「かーしゅ!」
ザンザスの子供かお前は。と思わずにはいられない。スクアーロをカス、と覚えさせたザンザス。懲りずに何度もザンザスの部屋に行っては、赤い目をじっと見るのが好きなのだ。追い払うのも面倒になったザンザスが、たまに相手をしている。
「遼…チェーザレにカスとか教えたのかぁ?」
「相変わらずバカだな。サノがすっげえ楽しそーに教えてたぞ。」
離乳も終わり、チェーザレ片手にザンザスと飲むようになった遼の機嫌は良くなった。勿論、後顧の憂いを断ったのもあるが。
「あのクソボス…!!」
「つーか完徹仕事じゃなかったのかお前。」
悲しさの一因でもある、遼の素っ気なさは十年前より酷い。スクアーロに原因はあってもやっぱり悲しい。ベビールームから出て、遼と一緒に寝起きしているがスクアーロは相変わらず、別部屋だ。
「遼とチェーザレ放って置く甲斐性なしにはなりたくねぇからなぁ。」
「安心しろ、充分甲斐性なしだから。」
言われるとぐうの音も出ない行いをした。解っているが遼は根に持つ。小言よりも辛い状況に置かれて、どう掴んで離すなと?と少なからず思う。遼がイタリアに居るのはチェーザレの国籍の問題だから、離婚してしまえば日本人として生活が出来る。
「…チェーザレの前では出さなくなっただけマシだよなぁ…。」
敵意の事だが、素人には殺気に思える明確な代物。哀愁を漂わせながら、足元で動き回る我が子を見下ろした。
「出しっぱなしで慣れられたら感知出来なくなるからな。」
遼式英才教育。ルッスが悲鳴を上げるぐらい、凄まじい内容だ。曰く、チェーザレを抱えながら本部頂上から落下。昔話もエグい。子守歌も怖い。問題がありすぎる子育てだ。つい先だっては、飛行機で暴風域に突入寸前だった。何事も経験と遼は言うが、トラウマにしかねない。母親譲りの丈夫さだが、ワイヤー並みの神経になりそうなチェーザレ。
「ルッスは雪遊びだけはさせるなって言うしなぁ…雪合戦したい。」
「ゔお゙おぉぉい!ナイフ仕込みの雪玉投げて雪合戦とか日本人は言わねえだろうがぁぁ!!」
「王子は楽しそうにしてたけどな。」
「遼基準だろうがぁぁ!」
マトモな教育を遼に求めようとする事が、そもそもの間違いである。雪合戦も昔は一撃で顔面強打させて、遊びと認められていた。
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