文句あんのか | ナノ
親父様来日


父子家庭の遼だが、仲は悪くない。成長するにつれ父親にとって、忌まわしい母親の面影が無くなったからである。父親に似て目つきは最悪、遼は細身なのに怪力。

「遼ちゃーん!」

「久しぶりだなぁオヤジ。ちったぁ英語上達したかジャパニーズイングリッシュのニューヨーク支部長様よぉ。」

この2人が並ぶと、どうしても自由業の方にしか見えない。父親はゴツくてでかいから。

「あれ?おっしーじゃねぇか。何固まってんだ?」

「遼…隣のおっちゃんってあっちの人なん!?」

サングラスにアロハシャツでは、確かにそう見えてもおかしくはない。遼は手を振って

「オヤジ。一応ニューヨーク支部長やってる表の人間だ。」

「はじめまして、遼の父です。いやぁ遼ちゃんと仲良くしてくれて嬉しいよ。今後も宜しく頼むね。」

がっしりとした手で忍足の肩を叩く父親。凶悪な顔なのにフレンドリーすぎて怖い。

「は、はじめまして…忍足言います。遼には助けてもろて。」

「関西の人か。懐かしいなぁ!俺の親友も関西出身でなかなか方言が抜けなくてね、あぁ良かったら一緒に食事でもどうかな?遼ちゃんはなかなか自分の事を報告してくれなくてちょっと困ってるんだ。危ない事はともかく友達と上手くやってるかなって。」

関西人たじたじのマシンガントーク。しかし忍足も何故か負けたくない意地。

「やったらお願いしますわ。遼はホンマおっかなくってしゃあないんで。こないだなんか綺麗な顔に傷付けよって口ん中まで怪我して暫くしょっぱいもん食えへんかったらしいです。」

初対面だろお前ら、とツッコミを入れる遼に構わずペラッペラと話を続ける。

「今日は江戸前だけど食べられないものとかあるかな?勿論俺が奢るし悪くはない店だよ。」

「納豆ぐらいっすわ。いやぁ遼の親父さんやからおっかないと思たらめっちゃフレンドリーですやん。」

「はっはっは、それはアメリカ生活二年以上やってればね。日本よりも外国人に優しい国だから。」

豪快に笑いながら遼の父親と忍足は和気藹々とタクシーに乗り込み遼も乗る。忍足が衝撃的だったのは遼の怪力が小さい頃からだったと聞いた事。小学校でダーツを習うとかどんなんやねんと真面目にツッコミを入れていた。…以来、遼の父親と忍足はマブダチレベルまで年齢の壁を粉砕して意気投合している。

「遼…親父さん、キャラ濃すぎや…。」

「サカッティーといい勝負だろ。あんなの2人も要らねえ。」

あの親にしてこの子あり。手塚家の皆様とは面識が無い遼の父親だった。

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