文句あんのか | ナノ
銀糸の小悪魔


無事に生まれた待望の息子は、どっちに似ても目つきの悪い、銀髪の癖毛を持つ子供だった。

「遼ちゃーん。チェーザレは元気?」

「元気すぎんだよ。離れた途端大騒ぎだ。」

遼の腕に抱かれて眠るチェーザレ。スクアーロに懐かない上に、遼にベッタリしている。

「頬が薔薇色ねぇ。起きてる時は誰に似たのか…。寝てれば天使なのに。」

「睡眠不足でイライラしてんだけど。テーブル投げんぞ。」

更に禁酒は続行中だから、イライラをぶつけるのは大概ザンザスだ。チェーザレも怪力ではないが、やたらと物を投げる。性格は遼に似たようだ。

「で、休みのハズのバカ旦那は?」

「ろくでなしはそこでいじけてる。」

遼が顎をしゃくって示すとベッドで突っ伏しているスクアーロ。ルッスが用意したベビールームだが、似合わない事この上ない。

「…因果応報ね。遼ちゃんいい事教えてあげるわ。身に付けているものとか、髪の毛とか渡すと大人しくなるんですって。」

「じゃあ髪の毛試すか。チェーザレ破壊魔だけど髪の毛は千切りにくいからな。似なくていいとこ似やがった。」

「親子は嫌なとこ似るって言うじゃない。切ってあげるわ。」

目立たない所をナイフで綺麗に切り落とすルッス。伸びた分、寝癖は大人しくなっている。艶々とした髪にするべくルッスが苦心したのだ。

「んじゃじっけーん。」

そっとベビーベッドに寝かせて、ぐずりだす前に遼の髪を握らせると大人しく寝ていた。

「良かったわね。お願いだから高い高いで放り投げるのは止めてね?」

「無重力体験出来たのか聞きてぇな。」

ほーら、とフランの目の前で勢いよく空中目掛けてチェーザレを放り投げた遼。見ていて心臓に非常によろしくない遊びだった。ちなみに50キロ以下の物体なら、遼はかなり高く投げられる。流石のチェーザレも目を回していた。

「ヘタな絶叫マシンより怖いのよ?遼ちゃんに投げられるの。」

ヴァリアー幹部は全員体験した、ザンザスに向けて遼に力いっぱい投げられる恐怖。下手をすれば死ぬのだからヴァリアーでも怖い。ザンザスに撃ち殺されるか頭蓋骨が砕けるか、瀬戸際に立たされる。

「普通怖いだろ。ルッスお茶淹れてくんね?息抜きしてぇ。」

「いいわよ。バカ旦那もいい加減起きなさいよ。」

そしてお茶を飲みながら、育児について熱く語るルッス。子守歌然り、遊び然り破壊的なのだ。怖いもの知らずに育つだろう。

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